カテゴリ
最新の記事
以前の記事
2014年 05月 2014年 01月 2013年 10月 2013年 07月 2013年 06月 2013年 03月 2013年 02月 2013年 01月 2012年 12月 2012年 11月 more... 記事ランキング
フォロー中のブログ
見てから読む?映画の原作 URGT-B(ウラゲツブログ) イルカが愛を確かめにくる... Words of VM ある編集者の気になるノート pantaya_sket... foggyな読書 It's a wonde... かえるぴょこぴょこ CI... Sweet* Days*... Mi cinema log ヨーロッパ映画を観よう! ryonouske's ... Akasaka high... 世に倦む日日 Goulash 寄り道カフェ 永遠のアイテム マテ茶通信 Links
モーテンセン礼賛 管理人の運営するアメリカの俳優ヴィゴ・モーテンセンのファンサイト
SOMETHING ELSEの過去ログ 図書目録(1980年以降) ハリウッドやぶにらみ 「USAのんびり亭」映画情報 おいしい本箱Diary flicks review blog JUNeK-CINEMA パピ子と一緒にケ・セラ・セラ 映画と本 そして コーヒー ノラネコの呑んで観るシネマ 晴耕雨読 タグ
アメリカ映画(120)
ヨーロッパ映画(73) アメリカのテレビドラマ(65) 映画と本(59) 音楽(30) 特撮(23) ミステリー小説(19) 24(19) フランス映画(18) LOST(18) アメリカの小説(16) プリズン・ブレイク(15) イギリス映画(14) アジア映画(12) LOST(12) ヴィゴ・モーテンセン(12) ダニエル・クレイグ(12) コメディ(12) 日本映画(11) ミステリー(10) 80年代洋楽(10) 映画の原作(10) 追悼文(9) コーマック・マッカーシー(8) スポーツ(8) スカーレット・ヨハンソン(8) 男優(7) 映画監督(7) 映画の索引(7) 時代劇(6) ONE OK ROCK(6) その他の国の映画(6) 中国映画(6) 007(5) オリンピック(5) ヨーロッパの小説(5) フィギュアスケート(5) 歴史ドラマ(4) ミュージカル(4) ギャング映画(4) ドキュメンタリー(4) ランキング(4) イギリスの小説(4) ジャーニー(4) 小説以外の本(4) 戦争映画(4) 電子書籍(4) 日本の小説(4) ダメージ(3) アフリカが舞台(3) 海外ドラマ(3) ノンフィクション(3) 女優(3) アート(3) 西部劇(3) ダンス(3) ONE OK ROCK(3) イタリア映画(3) リメイク(3) ドイツ映画(2) ジャック・バウアー(2) スペイン映画(2) 韓国映画(2) サスペンス(2) クリス・ハート(2) 女性監督(2) 3D(2) その他(2) ノワール小説(2) 邦楽(2) ブッカー賞(2) アジアの小説(1) ユニクロ(1) スポーツ映画(1) アクション(1) J-POP(1) デンマーク映画(1) ジェイムズ・エルロイ(1) アニメ(1) ナチスの映画(1) 最新のトラックバック
ライフログ
検索
その他のジャンル
ファン
ブログジャンル
画像一覧
|
2010年 03月 26日
この映画、アメリカで公開される前にいくつかの国際的な映画祭に出品され、そこそこの評価は得たらしいのだが、英国アカデミー賞以外は受賞にまではいたらなかった。 アカデミー賞レースでも、序盤までは果たしてこういった映画が会員に好まれるかどうか疑問符付きのようだったが、全米で公開されるや各地の映画祭で次々受賞、各種の批評家賞もさらい、その上、「アバター」のジェームズ・キャメロンとの元夫婦対決などの話題性も伴って、一気に注目度がアップした感がある。 蓋を開けてみれば全世界で20億ドルの興行成績をあげた「アバター」を、興収入わずか1600万ドルの「ハート・ロッカー」が制した格好になった。 「タイタニック」で受賞した時、「わたしが王だ」と言ったキャメロン監督、さぞかしがっかりしただろうなあ。 日本の配給会社も、まさかこういった地味な映画がここまで評判になると思わなかったらしく、川崎でも3箇所あるシネコンの内、現在上映されているのは一箇所だけだ。 普段だったらいくら女性サービスデイでも、このような映画を見に来る女性はそれほど多くないはずなのだが、アカデミー賞の効果は大きく、私が行った日(先週の水曜日)は前のほうの数列を除いて殆ど満席状態だった。 私は戦争や紛争を扱った映画は割合良く見るほうなのだが、ネットのユーザーレビューに、終始緊張を強いられるといった感想が多く書き込まれていたため、見るのをちょっと迷った。でもそう思って見ていたせいか、緊張は思ったほどでもなかったが。 ところでこの「ハート・ロッカー」という題名、私はてっきりこのような苛酷な仕事に従事している人たちは、心に鍵を掛けたような状態で事に臨んでいる、という意味だと勘違いしていたのだが、後で公式サイトを見たところ、ハート・ロッカーはThe Hurt Lockerと書き、直訳すると痛い箱、嫌な箱、つまり棺桶を指す軍隊用語なのだそうだ。 公式サイトによると、アメリカの爆発物処理に携わっている兵士の死亡率は一般の兵士の5倍にもなるそうだ。イラクでは爆弾処理行く事を、「ハート・ロッカーに送り込む」と言うのだそうで、なんとも凄い意味合いの隠語だったのだ。 そもそもこの映画、ジャーナリストで脚本化のマーク・ポールが、バクダッドで最も危険な地域に赴任しているアメリカ軍の爆発物処理班に何週間か同行して書き上げたシナリオを、監督のキャサリン・ビグローのところに持ち込んで作られた作品だという。 さらに今回の脚本は、テーマの面では元ニューヨーク・タイムズの戦争特派員で、ピューリツァー賞受賞者でもあるクリス・ヘッジスの「戦争の甘い誘惑」からインスピレーションを得ているという。本の中で著者は、「戦争はある人々にとっては誘惑となる要素を持つ」と述べているそうだ。 マーク・ポールは「現在の米軍は志願兵でなりたっている。何故志願してこのような危険な任務に着くのか。我々はその点をある種の心理の象徴として描こうとした」と語っている。 あらすじ(ネタばれあり) 2004年夏のある日。バクダッドでは米軍の爆発物処理班ブラボー中隊が、仕掛けられた爆弾の処理にあたっていたが、退避しようとした瞬間それが爆発。リーダーの軍曹が殉職する。 新しくリーダーに赴任したジェームズ軍曹は、800発以上の爆発物を処理したベテランだったが、時に無謀とも思えるその行動に、補佐役のサンボーン軍曹と部下のエルドリッジ技術兵は不安と苛立ちを募らせる。 そんな中、エルドリッジの上官であり医師のケンブリッジ大佐が、たまたま同行した先で自爆テロにあって死ぬ。 激しく動揺するエルドリッジ。 その上、ジェームズが可愛がっていたイラク人の少年が、人間爆弾として死体となって発見される。 周囲のイラク人の一体誰が自爆テロ犯なのか見分けがつかない上、仕掛けられた爆発物の処理の仕方を一つ間違えば、あっという間に棺桶行という苛酷で緊張した日々の連続。 そんな中、任務終了まであと30日あまりとなったブラボー中隊の3人。 果たして、3人は無事帰国出来るのか。 この映画、リアリティと緊迫感を出すため、数台の手持ちカメラを使って撮られている上、淡々とした演出が、まるでドキュメンタリー映画のようだったといった感想が多々あった。確かに画面はドキュメンタリータッチではあったものの、それにしては主人公がヒロイックすぎではなかったろうか。 危険を顧みず爆弾を処理する男たちにはヒロイックな要素があるのは否めない。 でも、それをジェームズという一人の人間に集約して、しかも向こう見ずなアウトロー型で見せてしまうのは、ちょとハリウッド的ではないかと私は思った。 こういった映画は誰かをヒーロー的に描くより、さらに淡々としたつくりにした方が良かったのではないかと思うし、アメリカ以外の国の映画ではそういった作品も少なからずあるけれど、アメリカで映画を撮るとなったら、どうしてもこういったつくりになってしまうものなのだろうか。 レビューには、この映画がアメリカで多くの賞を受賞したのは、アメリカが今回の戦争のエクスキューズを得るため、つまりアメリカのプロパガンダに使われているという意見も多くあった。 映画を見た限り、製作サイドにそういった意図があったとは思えないが、冒頭に流れた「戦争はドラッグだ」というテロップと、それから導き出されるラストシーンは、イラク戦争に反対だった他国の人間にはいかにも言い訳じみて見えてしまうだろう。(日本は国民の反対意見が多かったにも拘わらず、政権がイラク戦争を支持してしまったが) でも、先に書いたようにこの映画のテーマが「戦争の甘い誘惑」という本からインスピレーションを得ているとしたら、このラストシーンこそ、この映画のテーマを具現化したシーンと言ってよいだろう。 私はこの映画を見ながらしきりに頭に浮かんだのが、コッポラの「地獄の黙示録」だ。 特に、アメリカ兵の爆弾処理作業を窓から無表情に見つめるイラク人と、その誰かが爆弾テロリストかもしれず、猜疑心一杯で見張っている米兵との関係が、ベトナム戦争での現地の人々と米兵の描かれ方にそっくりだった。 思えばまた、アメリカではイラク戦争に関する映画が次々と作られているが、ベトナム戦争終結した後、アメリカでは硬軟取り混ぜてどれだけ多くのベトナム戦争の映画が作られた事か。 それらを見て、アメリカ人は感動したり、自己憐憫に陥ったり、反省したりして、今回同様いくつかの映画には賞を与えたりもしたが、マイケル・ムーアが「アホで間抜けなアメリカ白人」で指摘するまでもなく、しばらくするとまたどこかで戦争をやっている。 そこへ今回のようなテロップを流されると、他国の人間に言い訳じみて見えてしまっても仕方ないだろう。 これは適切な例えかどうかわからないが、阪神大震災の時、震源地は悲惨な状況になっているにも拘らず、そこから少し離れた隣街では、地震の翌日にパチンコ屋が開店していたのがニュースで取り上げられていた。 被災した一帯とそうでない一帯では、例え目と鼻の先でもそれくらい温度差があったようなのだが、アメリカでは実際戦争で戦った人と、そうでない人の間には、例え戦争の当事国の国民といえども、かなりの温度差があるのではないだろうか。 ベトナム戦争はボディーブローのようにアメリカ社会にダメージを与えたが、それも今は昔のこと。9・11のような出来事があると、ブッシュ政権のような強欲な人々に巧みに義侠心をくすぐられ、冷静さを欠いて世論が高まってしまうのも、戦争が麻薬であるというより、そういった温度差が原因なのではないだろうか。 私がこういった映画を見るたび、いつもとても不公平だと思う事は、アメリカは戦争をするとたちどころにそれに関する映画を次々つくって、世界規模で配給する事が出来るが、アメリカを相手に戦った相手国のダメージは、映画を作るゆとりなどないくらい深刻だという点だ。 調べてみたら、ベトナムが作ったベトナム戦争の映画で、まがりなりにも国際市場で上映されたのは、1980年の「無人の野」と2001年の「コウノトリの歌」という2本だけだった。 これではけんかをした片方の言い分だけが、声高にまかり通っているようなものだ。 こんどの戦争も、そういった事態にならなければ良いが・・。 今回の映画も、映像の凄さやキャサリン・ビグロー監督の女性とは思えない骨太の演出にも感心させられたが、だからと言って単純に良い映画だったとは評価出来ない、複雑な思いに捉われた。これは「告発のとき」を見た後にも感じたが。 そんな所が、アメリカと共にイラク戦争に臨んだイギリス以外の国では、受賞できなかった理由かもしれない。 この映画は主要な登場人物3人に、いわゆるスター俳優を配せず、脇役として実力のある俳優を選んでキャスティングしているところが特徴的だが、それらの配役は適材適所で、3人ともとても良かった。 不適な面構えがこの役にぴったりだったジェレミー・レナーが数々の賞を受賞したのに対し、その優等生的な相棒を演じたアンソニー・マッキーという黒人の俳優が、どんな賞にも殆どノミネートもされなかったのは、ちょっと残念だった。この人もとても印象深かったのに。 それに比べ、短時間のカメオ出演には、ガイ・ピアース、レイフ・ファインズ、デビッド・モースとなかなか豪華な俳優人が揃って出演しており、それだけでも凄いと思ったのに、最後にはジェームズの妻役で殆ど3言くらいのセリフのために「LOST」のエバンジェリン・リリーが登場したのは嬉しかった。 真夏のヨルダンの撮影に、これらの大物俳優が参加してくれたという事は、それだけ監督の人望が厚いということなのだろうか。 その監督のキャサリン・ビグローの映画は「ハート・ブルー」と「ストレンジデイズ」くらいしか見たことがないのだが、女性なのにアクション映画を撮る珍しい監督と言う事と、ジェームズ・キャメロンの元妻といったくらいの認識しかなかった。 ところが、今回アカデミー賞の壇上に上がったのを見て、凄く素敵な女性なのでびっくりした。 でも、そのビグロー監督が、壇上で「この賞を、イラクで戦うすべての兵士に捧げます」と言った時には、またもや複雑な思いに捉われてしまったが・・・・・。 ビグロー監督には、アフガンを舞台にした次回作の噂がある。 これらアメリカ映画と共に、パレスチナ映画の「パラダイス・ナウ」やアフガン映画の「カンダハール」のような作品がどんどん作られ、多くの人に見られるといいのにと切に思う。
by chiesan2006
| 2010-03-26 23:26
| 映画
|
ファン申請 |
||