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2010年 07月 27日
この映画、2008年に本国スウェーデンで公開されるや大ヒットし、その後世界中の様々な映画祭で受賞したそうだ。 そこで早速ハリウッドが目を付けて、「ザ・ロード」でヴィゴの息子を演じた、コディ・スミット・マクフィ主演でハリウッドリメイクされ、今年の10月全米公開されるそうだ。 にもかかわらず、日本では現時点ではどうやら全国的にも2館くらいでしか上映されていないらしく、近県の人が噂を聞いて集まって来た感じだ。同じヴァンパイヤ映画「トワイライト/初恋」の影響などもあるのかもしれない。 ところでこの所、ローティーンの子供が主役か準主役の映画を続けて見ている。 「ザ・ロード」「動くな、死ね、甦れ!」そしてこの映画。 (因みに、この映画を観たあと、「ザ・ロード」の2回目を鑑賞してしまいました。ヴィゴ様主演だから、あともう1回くらいは見ねば・・・・・。) 話題を子供たちに戻すと、映画の出来とか好き嫌いはさておき、どの映画の子供たちも皆凄く良かった。 元々子供の出る映画を観るのは好きなのだけれど、前から言っているように、ハリウッド映画に良くあるような、大人の雛形風のこまっしゃくれ演技は、背後に大人の思惑が透けて見えるようで、どんなに上手くてもあまり好きじゃない。 でも、今回続けて見たこれらの映画は皆、子供たちの感性に沿った演出がなされていて、子供たちの繊細さとか瑞々しさがとてもよく表現されている。 ハリウッドのリメイク版でも、コディ君が「ザ・ロード」で見せたような繊細さを生かしてくれたら、良い映画になるのではないかと思うのだが、果たして・・・。 原作はスウェーデンのスティーヴン・キングの呼び声高いヨン・アイヴィデ リンドクヴィスト(ああ、ややっこしい名前)の「モールス」というホラー小説。 主人公の少年と、隣の部屋に越してきたヴァンパイヤの少女が、モールス信号で会話することから付けられている。 ところで、この主人公を演じているカーレ・ヘーデブラント という少年、昔美青年として一世を風靡したビヨルン・アンデルセンを若くしたようなサラサラの金髪の美少年で、子供なのにふてぶてしい面構えだった「動くな・・」の主役の少年パーヴェル・ナザーロフとは好対照。 それに対し、ヴァンパイヤを演じる黒髪に大きな瞳が印象的なリーナ・レアンデションは、吸血鬼発祥の地といわれるルーマニアを思い起こさせるエキゾチックな美少女。 そして、この映画でもいじめられっ子の少年を助けるのは少女のほう。 どこの国でも、この年代というのは男の子より女の子のほうがしっかり者と相場が決まっているらしい。 あらすじは以下のとおり。 ストックホルムのアパートに、母親と二人で住む12歳のオスカーは、毎日のように学校で3人組みの同級生にいじめられていた。 鬱屈した気持ちを晴らすため、ナイフで庭の立木を刺すオスカー。 と、そこに背後から声が。 振り向くと、ジャングルジムの上に一人の黒髪の少女がいた。 それはオスカーの部屋の隣に越してきたエリという名の少女だった。 以来、オスカーとエリは毎日のように庭で会うことになった。 ちょうどその頃、町ではむごたらしい殺人事件が起こり、人々はその話題で持ちきりだった。 事件に興味を持ったオスカーも、新聞の切り抜きをスクラップしていた。 事件はエリの同居人の男の仕業だった。 男はヴァンパイアであるエリのため、人を殺してその血を絞り、エリのところに運んでいたのだ。 そうとはしらず、次第にエリに惹かれていくオスカー。 ある夜、人を襲った後、オスカーの所にしのんで来たエリに、オスカーはぼくと付き合ってと頼むのだった。 「わたしは女の子じゃないけど、いいの?」と言うエリ。 翌朝、オスカーが目ざめるとエリの姿はなく、後に「ここを去って生き延びるか、とどまって死を迎えるか、あなたのエリ」とかかれたメモがあった。 そんなある日、いじめられて頬に傷を作ったオスカーにエリは「負けちゃダメだよ、やり返して」とアドバイスする。 そこで体を鍛えはじめたオスカーは、今度はいじめっ子のボスに思い切り仕返しをする。 すっかり自信をつけたオスカーは、エリと血の契りをしようと自らの指を傷つけるが、床に滴った血を見たエリは、俄かに様子が変わって、夢中でその血をすするのだった。 驚くオスカー。 やがてオスカーは、エリが12歳の少女の姿をしたヴァンパイヤだと知るのだった。 この映画、チケットを買う時と上映開始前に「途中傷のあるシーンがありますが、ご了承下さい」と係員に念押しされた。 これはたまたまなのだけれど、先日見た「動くな、死ね、甦れ!」でも、「この映画は途中フィルムの劣化による傷があるのでご了承下さい」というアナウンスがあったので、今回はそんなに古いわけでもないのに、誰かの不注意か、くらいに思って見ていたら、驚いた事に、オスカーの部屋でシャワーを浴びるエリの下半身に、ヘアヌード解禁前に映倫がつけたような傷が付けられていた。 今時こんなことをするなんておかしいな、とは思ったものの、たいして深く考えもせず観終わった頃には忘れていたが、帰ってきてその事に関して書かれているネットのユーザーレビューを読んでびっくり。 なんと、エリはヴァンパイヤであると同時にカストラート(声を保つために去勢された少年)で、あの修正を加えられた箇所はその傷跡だったのだそうだ. 劇中でエリは何度も、「わたしは女の子じゃない」と言うのだが、このシーンに修正が加えられていた以上、日本の大部分の観客はそれはヴァンパイヤだからと解釈しただろう。 無修正の作品を見た観客とは、自ずと解釈が違ってくるだろうし、この映画が高い評価を得て、各国で多くの映画賞を受賞したのは、このような驚くべき仕掛けがあったればこそだったのかもしれない。 ところで、エリがヴァンパイヤというだけでなく、もう一つこんな重大な秘密を抱えていたとなると、話が俄かにややっこしくなる。 なぜなら、そのシーンでこっそりエリがシャワーを浴びるのを覗いていたオスカーは、その傷を見てしまうからだ。 エリの傷を見た時、12歳の少年がその意味するところを理解出来るものなのかどうかという疑問はあるものの、劇中でのオスカーはエリの傷を見て、その意味を悟るのだ。 要するにオスカーはエリがヴァンパイヤであると同時に、元は少年だったというショッキングな事実を突きつけられる事になる。 これがもう少し年長の少年だったら、元々バイセクシャルな傾向のある少年でもない限り、100年の恋もいっぺんに冷めるかもしれない。 でも、エリのそんな二重のハンデも、まだ12歳の無垢で孤独な魂を持つ少年には何の障害にもならない。 物語のラスト近く、オスカーはやっつけたはずのいじめっ子の兄から、生命の危機さえ伴うような手酷い仕返しをされる。 が、驚くほど残虐な手口で、エリがオスカーを救う。(イメージするヴァンパイヤの行動範囲を逸脱したようなこの手口は、些か興冷めだったという意見には、私も同感だが) それにしても、そんな重要なシーンに修正を加えてしまうなんて、それは製作サイドの了解をとってのことなのだろうか。 日本の観客が、あの一瞬のシーンでそこまで察しがついたかどうかは些か疑問だが、それにしてもこういう事をする意味が良くわからない。 しかも、原題は「Let the right one in」(受け入れる、みたいな意味?)なのにわざわざ題名に「少女」なんてつけて、エリがカストラートだという事実は全くなきことにされてしまっている。 ここまでいくと最早修正というより改竄だ。 考えられるのは、日本語には男女の区別があるので、訳文の中でエリが自分をどう呼ぶかを苦慮したせいかもしれないなあ、という事だ。 「ぼく」では不自然だし、「わたし」と訳すしかないだろうけど、大人ならともかく子供の場合「わたし」は絶対的に女の子が使う言葉だ。 エリが「わたし」といっている以上、日本人はどうしても女の子を連想してしまうし、そこで突然男の子だった証拠を見せられたりしたら、混乱してしまうかも、という配慮からか?でも、そんなの余計なお世話だ。 ところで、映画の冒頭で人間の血を抜いてエリに与えていた男。原作ではエリに魅せられた小児性愛者で、やがて怪物と化してエリを追って来るのだそうだが、映画の中ではエリの庇護者のようでもあり、僕のようでもある。 最後にはエリに身を捧げるのだが、それ以前、エリが男の頬をなでるシーンが挿入されている。 エリに救われたオスカーは、エリを生き延びさせるため、エリをトランクに入れ、列車で旅立つ。(12歳の少年がどうしてそんな事が出来るのか、考えてはいけません) 先のシーンが、これからオスカーが辿るであろう運命を暗示するためのシーンであることは、間違いないだろう。 無垢なオスカーの魂が、永遠に安らかならん事を・・・。 主演少年の鼻水も凍るような極寒のスウェーデンで、雪と血と、黄金色と黒と、大胆さと繊細さと、はかなさと永続性と、それらのコントラストが渾然一体となって織り成す、不思議な味わいの映画でした。 それにしても、ビヨルン・アンデルセンは今どこに?
by chiesan2006
| 2010-07-27 03:02
| 映画
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