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2010年 09月 17日
製作サイドは興収15、6億くらいと見込んでいたというこの映画、8月末の時点で40億に届きそうなくらい予想外のヒットとなったようだ。 主演の松たか子は「出来上がった作品をご覧になってのご感想は?」という質問に、「原作や脚本を読んだ時と同様、どう受け止めていいのか一瞬わからない戸惑いがありました。」と答えているのだが、主演女優が監督と一緒のインタビューでそう答えてしまうほど、見終わった後に妙な感じの残る映画だった。 さすがに松たか子はその後で「でも、今生きている以上は、これを受け止めないといけないんだなとも思いました。」と言っているのだが、それは主演女優という立場を配慮しての発言だろう。 ともかく、私はその後もずっと釈然としない。 この映画、確かに退屈な映画ではなかったし、最後まで惹き込まれはしたのだが、なんだか描かれている内容と手法が乖離しているような居心地悪さがあった。 子供が子供を殺す、なんとも気のめいるような陰惨な物語なのに、映画として面白くつくられているせいで抵抗感が薄れて見やすくなってしまっている、とでも言うのか・・。 監督は映画に社会的メッセージを込めるのは好きではないと言っているが、この映画には、多発する少年の凶悪犯罪、それに対する少年法の壁、学級崩壊、児童虐待、モンスターペアレンツなど、今日本が抱える社会的な問題が多く含まれている事も、また事実だ。 このテーマに今回の演出というのは、私はどうも納得出来なかった。 映画は冒頭から、予告編にもあった教室のシーンで始まる。 完全に学級崩壊しているクラスで、そんな事は全く意に介せず淡々と話し続ける女教師がいる。 やがて教師は、「私の娘はこのクラスの生徒に殺された。私はその男子生徒2名を突き止め、今日彼らの牛乳にエイズの血を混ぜた」と話す。 騒然とする教室。 このシーンも、観客をつかむ演出としては優れているとは思うものの、計算され過ぎのきらいがあると感じた。 それに、途中、教室で生徒全員が突然踊り出すシーンが挿入されているのだが、なんでそんな演出がなされなければならないのかも、良くわからなかった。 それに、一番感じたのは、人間がデフォルメされすぎている事。 最近日本の映画やドラマは漫画が原作という作品が実に多いが、たとえ漫画が原作でなくても、漫画やアニメの影響を受けていると思える作品が映画のみならず小説にも多い。 私は今は漫画やアニメは見ないけれど、子供の頃には好きな時期もあったし、漫画やアニメで感性が培われた面もあるのは否定出来ないが、漫画やアニメの持ち味と映画や小説の持ち味は違うと思ってもいる。 原作は未読だけれど、AMAZONの原作本のユーザーレビューは、映画のユーザーレビューに比べ評価が厳しい。 中にはそのまま映画に適用してもよいのではないかと思うようなレビューもある。映画はそれだけ原作に忠実に作られているということなのだろう。 監督と松たか子にインタビューしたレポーターは「とても面白かったのですが、鑑賞中も、鑑賞後もストレスを感じました。このイライラとした気分の原因は、どうにもならない現代社会の問題が本作で描かれているからだと思ったのですが・・・。」と言っている。 それに反し、この映画を見て爽快感を感じたとレビューに書いている観客も多い。 そういう観客たちは、被害者の母親である女教師、森口裕子が、淡々と復讐を完遂し、加害者の少年たちをぺしゃんこにするのを見てカタルシスを得ているのだろう。 ただ、その反面、この映画では登場人物たちの執念や狂気が、非常に扇情的に描かれていて、それが見る者を不安な気持ちにさせる。 これらの人々の狂気の演技、これもまた些かオーバーアクトで、私は松たか子意外は鼻白んだ。 監督はインタビューの中で「登場人物は喋ってはいますが、誰とも向き合っていません。相手のいない、空に向かって喋っているだけです。誰とも向き合わないというのは、極めて今日的だという気がします。」と言っている。 登場人物たちは独白形式で、それぞれの行為の背景にある動機や心情を吐露するのだが、それを客観的に検証できる第3者がいるわけではないので、本当の事を言っているのかどうかは定かでない。 このような手法をとってしまっているせいで、それらはそれぞれの自分たちなりの言い分、特に加害者の少年たちの独白は、単なる言い訳にしか聞こえない。 監督は松たか子に出演依頼をする際「中学生たちをボコボコにしてやってくれ」という手紙を書いたそうだが、この映画では加害者の少年たち以外の中学生も、この女教師によってぼろくそに貶められる。 それが冒頭の学級崩壊に対するこの母親なりの返礼だ。ここでも観客は溜飲を下げる事になる。 現在の日本では、被害者の家族の権利よりも、犯罪を犯した少年の権利が少年法によって守られことに忸怩たる思いを抱いている人たちが多くいるだろうし、私もその気持ちはわかる。 けれども、だからといってこの映画のように、そういった少年たちをぺちゃんこにする映画を見て快哉を叫ぶのは、たとえフィクションであろうとも、大人としてばつが悪い。 私にはこのような現象こそ、ひどく今日的に感じられる。 この監督はこういった反発も織り込み済みでこの映画を作っているように思えるところもなんだか上から目線に感じられ、それもこの映画があまり好きになれなかった理由の一つだ。 監督は原作の内容を考慮して、従来よりも抑えたトーンでこの映画を撮ったと言っているが、最後にたたみかけるように明かされる真相や、時間を巻き戻す手法、派手な爆破シーンなどエンターテイメント性満載の表現は、まさにこの監督の真骨頂といえるだろう。 もっとも、監督はこの作品を観客が捉えるより重苦しい作品と捉えていて、それ故の興収予想16億だったのではないだろうか。 もしかしたら思わぬ誤算に一番戸惑っているのは、監督自身かもしれない。 映画には女教師の森口裕子が事を成し遂げた後、どのように感じていたかは描かれていない。 復讐を成し遂げた森口裕子は、果たして観客が感じたように気分爽快だっただろうか? この映画のあらすじはこちらで。 ※下記の広告はExciteの営業活動の一環として掲載されるもので、主催者が載せているものではありません
by chiesan2006
| 2010-09-17 04:11
| 映画
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