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2011年 12月 14日
愛の勝利を ムッソリーニを愛した女 (劇場) イタリア・フランス 83点 イタリアの巨匠マルコ・ベロッキオの作品。とは言え、この監督の作品は初めて観た。 ムッソリーニに、心も体も財産も、文字通りすべてを捧げ、息子までもうけた挙句に捨てられた女性を「コレラの時代の愛」の主演女優がジョヴァンナ・メッツォジョルノ熱演している。 ムッソリーニに執着して追い回す様子はイザベル・アジャーニが主演した「アデルの恋の物語」とか「カミーユ・クローデル」を彷彿とさせる。 これら3人とも実在の女性というところがなんだか悲しい。 ムッソリーニは関係した女性の数が半端じゃなく多かったそうだから、そんな人に執着してもせん無い話だと思うのだが、自分のためというよりむしろ息子のためを思っての必死さが却って仇になって、息子と別れさせられた上、長期間精神病院に幽閉される。 ムッソリーニを演じているのはイタリアで舞台を中心に活躍する、フィリッポ・ティーミという俳優で、こちらもド迫力の演技に圧倒される。 全体的に押さえた色調で捉えられたヨーロッパの町並みの美しさや、それぞれのシーンに流れるクラシック音楽の重厚さが相俟って、久しぶりに観たイタリア映画らしいイタリア映画といった作品だった。 夜よ、こんにちは (劇場) イタリア 79点 こちらも監マルコ・ベロッキオ督の作品。 上記の映画と一緒にキネカ大森で見た。 こちらは1978年に起きた、イタリアのモロ首相誘拐事件を題材に2003年に作られた映画。 いまでこそテロといったらアラブの過激派という感があるが、この当時ヨーロッパではこの映画に登場するイタリアの「赤い旅団」とかアイルランドの「IRA」などがヨーロッパ各地でテロを行っていた。 赤い旅団は大きな組織だったように思うが、この映画に登場するテロリストは4人だけで、その内唯一の女性である主人公が、首相の人間性に触れて揺れ動く様が描かれる。 上記の映画に比べると密室劇のようで規模は小さいが、出演者の服装や髪型、室内の様子などが細部に至るまで 年代当時を再現していて、監督のこだわりを見せられた気がした。 この事件、結末に関してはなんとなく覚えがあったのだが、映画では実際の結末とは違ったラストが用意されている。 バーレスク (DVD) アメリカ 87点 歌手のクルスティーナ・アギレラ主演のミュージカル。 といっても、会話の途中で突然歌い出す類の内容ではなく、歌とダンスはすべてクラブの舞台で演じられるところは従来のミュージカルよりは無理がない感じ。 なんといっても主演のアギレラの歌唱力が凄いのと、本職ではないはずのダンスもなかなか上手いのが見もの。 内容はかなり単純なサクセスストーリーなのだが、すっかり歌と踊りに魅せられ、DVDを買おうかと思ったくらいだった。 そういえばクリスティーナ・アギレラて、「シャイン・ア・ライブ」というストーンズのドキュメンタリー映画で、ストーンズの舞台にゲスト出演してミック・ジャガーに「なかなか気に入った」とか言われていたっけ。 日頃は熱唱タイプの歌手が必ずしも好きと言うわけではないのだが、「ドリーム・ガールズ」を観た時もビヨンセの歌声に感動した。 こういった映画を見ると、やっぱりアメリカのエンターテイメント界は奥が深いと感じさせらる。 それから久しぶりに見たシェールの年齢を感じさせない容姿と歌声に、これまたびっくり。 すべて彼女のために (DVD) フランス 81点 先月観たアメリカ映画「スリー・デイズ」のオリジナル盤。 主演は「女はみんな生きている」などにも出演している渋い中年俳優のヴァンサン・ランドン、妻役はダイアン・クルーガー。 骨子は2作品とも殆ど同じなのだが、アメリカ盤の方がラストの演出に工夫があってハラハラさせられた。 妻役のダイアン・クルーガーがフランス語が上手くて驚いたけれど、この人世界的に名前が売れたのもフランス映画の「ミッシェル・バイヨン」だったっけ。 と思ったら、元夫がフランス人監督のギョーム・カネだった。 この映画だけ見たら悪くないと思ったかもしれないけれど、リメイク盤と比べてしまうとちょっと物足りない感じがあった。 ハリウッドリメイクって、お金を掛けている割にはオリジナルより面白くなくなっていたりする事も多いのだが、この映画に関しては、リメイクを作ったポール・ハギスの方が、観客に受けそうなツボを心得ているかもしれないと思わされた。 君を想って海を行く (劇場) 85点 フランス なんだか凄く切ない映画だった。 マイケル・ウィンターボトム監督の「イン・ディス・ワールド」ではアフガニスタンからコンテナに隠れてイギリスに密入国しようとする人々が描かれていたけれど、この映画ではイラクから紛争を逃れて徒歩でフランスに入国した難民が、今度はフランスからトラックでイギリスに密入国しようとする。 ところが国境では、取り締まりのために二酸化炭素の検知器を使っているから、ビニール袋を被って、息が外に漏れないようにしなくてはならない。 そのために死ぬ人間もいる。 フランスでは増える不法滞在者に苦慮して、援助を打ち切る政策を採り、取り締まりも強化する。 彼らの一人一人は何も悪い事をしたわけではないが、アラブ人であるというだけで差別される。 それどころか、不法滞在者を匿うと、フランス人であっても逮捕される。 フランスはイラク攻撃に反対したけれど、だからといってイラク人に同情しているわけではないんだという事を思い知った。 そういえばあの時も、フランスが反対するのは別に人道的な立場からではない、という論調もかなり聞かれたよなあ。 各国の思惑に翻弄されるイラクの人々こそ気の毒だ。 主役のイラク人青年はイギリスにいる恋人に会うため、ドーバー海峡を泳いで渡る。 それから上記の映画に主演しているヴァンサン・ランドンがこの映画では、青年の水泳のコーチとして出演している。 この人、外見強面だけど、なかなか良い味出している。 二本にいると中々わかりにくいヨーロッパとアラブの複雑な関係が垣間見え、またこういった状況の中、個人のレベルで何が成せるかなど、いろいろ考えされられる映画だった。 バビロンの陽光 (劇場) イラク/イギリス/フランス/オランダ/パレスチナ/アラブ首長国連邦/エジプト 86点 こちらはイラク人の監督が撮った、フセイン政権崩壊後のイラクの人々を描いた映画。 上記の映画と一緒に、イラクつながりでキネカ大森で2本立て上映された。 おばあちゃんと孫の少年が、フセイン政権下で逮捕されその後行方不明になった父親を探して旅するロードムービー。 出演者が全員素人という、アラブの映画には良くある手法だが、こういう映画を見るとプロの俳優のテクニックだけが観客を感動させるわけではないとつくづく思う。 とにかく、主演の少年とおばあちゃんが凄く良い。 決して演技が上手いというわけではないし、セリフもどちらかというと棒読みに近い。 それでも真摯さとか真剣さがダイレクトに伝わってくるのは、現実に映画の内容に通じる背景を背負っているという重みがあるからだろう。 フセイン政権崩壊後に次々見つかる、集団墓地。そこに埋葬されたおびただしい数の遺体。 見ていて、ポルポト政権下のカンボジアを映画化した「キリング・フィールド」を思い出した。 だからと言って、人々がフセインを倒したアメリカに好感を持っているわけではないというのが、映画の中でも表現されている。 アメリカ側からではない、イラク側からイラクの現状を描いているという点では貴重な映画。 冷たい熱帯魚 (DVD) 日本 69点 あっちこっちの単館系の映画館で上映されていたし、凄いという評判もあったのでどんな映画かと思って借りてみた。 正直言って、「凄い」というより「くどい」という感じしかなかった。 後でいろいろ読んで知ったのだけれど、監督の園子音という人、今海外でもかなり注目されているらしい。 後からユーザーレビューを読んだら、グロいと書いている人がかなりいて、最初にそれを読んだら見なかったかもしれない。 その問題のグロいシーンは、観ている時にはさほど感じなかったのだけれど、妙に後を引いて、見たあと4、5日はふとした瞬間に思い出して困った。 90年代に起こった愛犬家殺人事件に題材を採っているという事だが、あの頃愛犬家殺人事件というのが立て続けに2件起こって、最初の事件の事は割合覚えていたのだけれど、この事件の事はあまり覚えていなかった。 ウィキペディアで調べてみた所、映画の中で犯人が言っているセリフの殆どは、実際の犯人が言った事であるのを知って物凄く驚いた。「死体を透明にする」とか「殺人のオリンピックがあったら俺が金メダル」とか。 出演者は主演のでんでんをはじめ、一人残らず怪演しているが、中でもテレビのサスペンスドラマなどにも良く出演している黒沢あすかの怪演ぶりがすさまじかった。 というより、この監督の演出プランに則って演じるとなったら、だれもがこんな風に演じるしかないんじゃないだろうか。 それくらい、すべてにおいて「くどい」。 監督曰く、実際の事件はラストが面白くないから変えたそうだが、後半になるとさらにくどさがマックスになって、殆どげんなりって感じだったけれど、とにかく我慢して最後まで見た。 エリックを探して (DVD) イギリス/フランス/イタリア/ベルギー/スペイン 81点 元プロサッカー選手のエリック・カントナがプロデューサーを務め、自ら出演もしているハートフルコメディー。 監督は「麦の穂を揺らす風」でカンヌ映画祭パルムドールを受賞した英国の巨匠ケン・ローチ。 ケン・ローチといったら弱者に焦点を当てた社会派のドラマを撮る監督といったイメージだけれど、この映画の主人公はカントナを神と崇めるサッカー好きの中年のおじさん。 2度の結婚に失敗し、すっかり気落ちしている主人公の元に、カントナの幻影が現れ励ますという、ちょっとファンタジックな作りにもなっている。 ラストの展開は些かご都合主義的な感じもがしないでもないが、いつものケン・ローチ作品とは違った気楽さがあって楽しめる。 それにしても、イギリス人は本当にサッカーが好きだ。 他のヨーロッパ諸国でもサッカーは盛んだけれど、サッカーを題材にした映画を一番作っているのはなんといってもイギリスだろう。 スタープレイヤーと有名監督の組み合わせという企画が実現したのも、そういったイギリスならではの事情があるからこそ、なのではないだろうか。 珈琲時光 (劇場) 日本 80点 ホウ・シャオ・シェンが、小津安二郎生誕100年のオマージュとして東京を舞台に撮った作品で、歌手で父親が台湾人である一青窈主演している。 一青窈の、殆どセリフを喋っているとは思えない自然体の語り口が凄く新鮮で印象的だった。 とにかく表現が淡々としていて、生活描写などは物凄くリアルなのだけれど、主演の女性が何をして生活しているのかわからなかったり、未婚の娘が妊娠していると聞いた田舎の両親の反応が妙に薄かったりと、登場人物の行動には逆にあまり現実感がない、なんだか不思議な味わいの映画だった。 特に父親役のベテラン俳優、小林 稔侍が殆どセリフをしゃべらない。 これは多分小津作品の父親像を、監督なりに解釈した結果なのだろうけれど、気持ちはわかるけどいくらなんでもこんな父親はいないよなあ、と思わず突っ込みを入れたくなってしまった。 画面に都内を走る電車や駅が多数写しだされるのも特徴的で、なんだか鉄男が喜びそうだなと思って見ていたら、浅野忠信演じる古書店の店主自身がその鉄男で、車内放送など録音するシーンが挿入されている。 一青窈の女優としての能力と、それに呼応するような自然体の演技の浅野忠信には好感が持てたし、淡々とした映画は嫌いじゃないのだが、ここまで感情表現が希薄だと、些か退屈な感じが否めなかった。 百年恋歌 (劇場) 台湾 78点 こちらもホウ・シャオ・シェン監督作品。例によってキネカ大森で上記の作品と2本立て上映だった。 3つの時代の3組の男女の恋愛模様を描くオムニバス映画。 それぞれの時代のカップルを、すべて「トランスポーター」に出演したスー・チーと、「グリーン・デスティニー」に出演したチャン・チェンの二人が演じる。 60年代のビリヤード場を舞台にした第一話は、この監督の初期の作品「恋恋風塵」を思わせるし、20世紀初頭の遊郭を描いた第二話はサイレント形式になっていて、映像や音楽が美しいのだが、どの作品もストーリー性よりも芸術性が勝っているような作り方で、感情的にいまひとつ入り込めなかった。 そういえばやっぱりスー・チーが主演した「ミレニアム・マンボ」もあんまり面白くなかった。 ホウ・シャオ・シェンの映画は初期の「冬冬の夏休み」とか「恋恋風塵」、最新作の「赤い風船」などは好きだったのだが・・。 とはいえ、シャオ・シェンファンは多いらしく、キネカ大森はいつになく座席が多く埋まっていた。 愛のむきだし (DVD) 日本 75点 私にとってはくどさマックスだった「冷たい熱帯魚」の園子音監督の4時間の大作映画。 「冷たい熱帯魚」は相当拒否反応が出てしまったが、この映画はかなり評価も高いし、テレビで偶然「モテキ」を見て以来ファンになった満島ひかりの出世作だし、などと思って借りてみた。 なんだかんだ言ってもこの長尺の映画を飽きさせずに見せる手腕というのはある意味凄いとは思うものの、私にとってはこの映画もやっぱりくどかった。 発想は面白いし、主演の二人は外見も可愛いい上に演技力もあって悪くなかったし、特に目当ての満島ひかりが泣きながら聖書のコリントの使途への手紙を暗唱するシーンは、監督の言うとおり、正に神掛かったような演技で驚かされた。 でもいかんせん内容がてんこ盛りな上に、これでもかと言うくらい同じシーンが繰り返される展開は、誰が何と言おうと演出過剰と言わざるを得ない。 パンチラだって、チラッと見えるからはっとするのであって、これだけ見せ付けられたら何も感じなくなるんじゃないの? それに新興宗教の勧誘員を演じた安藤サクラと、主人公の少年の父の愛人を演じた渡辺真起子の演技がわざとらしくて閉口した。 もっともこの監督の演出では、殆どすべての俳優に目一杯過剰な演技が要求されるだろうから、俳優は皆オーバーアクトになってしまうのだろう。 そのせいで、出演者は皆それまでにない何かを引き出され、あちこちの映画祭で賞を受賞することになり、故にいろいろな俳優がこの監督の作品に出演したがるのだろう。 この監督の映画を2作品見た限りでは、過剰さによって見る側の感情を揺さぶられ、それで映画の牽引力が増しているとは思うものの、それは同時に両刃の剣ともなって、私のような拒否反応を起こす人間も少なくないんじゃないだろうか。 なんだかいつもダイレクトな直球勝負って感じで見てて疲れるけど、他の作品もそうなんだろうかといった、なんだか怖いもの見たさみたいな興味もある。 少なくとも、現在公開中の「恋の罪」や来年早々公開される「ヒミズ」は、この延長線上の作品のようで、それ故今回も主演の若い二人にヴェネツィアで賞が齎された。 なんか「ヒミズ」観に行っちゃうかもしれないなあ。 切腹 (DVD) 日本 86点 10月に公開されて話題を呼んだ三池崇監督の「一命」の1962年に作られたオリジナルバージョン。 当時まだ30歳の仲代達也が、殆ど年齢の違わない石浜朗の義理の父親役を演じて圧倒的な存在感を見せている。 それを踏襲してか、リメイク盤ではそれぞれの役を、こちらもあまり年の違わない瑛太と市川海老蔵が演じているが、予告で見た限りでは、海老蔵はこの映画の仲代達也には及ぶべくもないように見えた。 社会派の映画を多く撮っていた小林正樹監督がメガホンを取っただけあって、人間ドラマとしての重厚さに加え、白黒画面によるシャープな画面構成や、無駄のない演出、それぞれのシーンに応じた適宜な音楽の使い方など、当時の日本映画の水準の高さが窺い知れる内容になっている。 しかもラストにどんでん返し的な展開もあって、エンターテイメントとしても面白い。 他の配役としては、敵役に三国連太郎や丹波哲郎など当時の日本映画界の重鎮ともいえる俳優を配していて、最近の漫画やアニメ由来の映画とは一味も二味も違う、大人のための映画といった作品だった。 終盤の仲代、丹波の果し合いのシーンではなんと真剣が使われたのだそうだ。 監督の半端じゃないこだわりが、画面のあちこちに見られる、そんな映画。 ラビット・ホール (劇場) アメリカ 78点 ピューリッツァー賞を受賞した戯曲をニコール・キッドマンが初プロデュースし、主演も演じている映画。 犬を追って道路に飛び出し事故にあって死んだ4歳の息子。その喪失感に苦しむ母親をキッドマンが熱演している。 監督は「ヘドヴィク・アンド・アングリーインチ」や「ショートバス」など個性的な作品で注目を浴びた、ジョン・キャメロン・ミッチェル。 この映画では、同じ痛みを共有しながらすれちがう夫婦と、二人を巡る人々の姿を、いつにない手堅い演出で撮っている。 でもなんだか手堅すぎちゃって、「ヘドヴィク・・」を観た時のような強烈な印象が残らない。まあ、テーマは全然違うけど。 同じように息子をなくした夫婦のすれ違いを描いた映画では、シシー・スペイセクが主演した「イン・ザ・ベッドルーム」のほうが、見た後強く印象に残った。 あの映画の記憶があったので、この映画を観た時にどこかで見たようなと思ってしまい、印象が薄くなってしまったかもしれない。 それに、なんとなく上から目線のこの母親にあまり共感出来なかったというのも、この映画に入り込めなかった理由のひとつのような気がする。 この人のお母さんも、麻薬の過剰摂取で息子を亡くしているのだけれど、そんな自分の母親に対して、この人、それとこれとを同列に考えないでなどとの給うのである。苦しくて思わず当り散らしたのかもしれないけど、後で謝るわけでもなかったし・・。 それに、息子を撥ねた車を運転していた少年と交流することによって癒されていくというのも、いまひとつわからなかった。 ニコールのような演技派女優がチャレンジしたがりそうな役ではあるなあとは思ったが。 ※下記の広告はExciteの営業活動の一環として掲載されるもので、主催者が載せているものではありません
by chiesan2006
| 2011-12-14 02:46
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