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2012年 11月 04日
クローネンバーグ監督の映画はかならずしもわかりやすい作品ばかりではないが、それでも今回のように見終わった後何が言いたいのか良くわからないと思った事はあまりない。 この映画の主な登場人物は、精神医学の祖といわれるフロイトと、その後継者と目されながら後に袂を分かったユング、そして最初は患者でありながら後にユングの愛人となったザビーナという女性だ。 それ以外には、フロイトの弟子で後にユングを挑発する精神科医グロスとユングの妻のサラ。 この5人が殆どすべての登場人物なのだが、これはこの映画が舞台劇が元になっているからだろう。 シナリオを書いているのは、この舞台の脚本も手がけたクリストファー・ハンプトン。 この人は映画「つぐない」の脚本家でもある。 キャストはフロイトに、今やクローネンバーグ作品の常連となったヴィゴ・モーテンセン、ユングは現在乗りに乗って様々な映画に出演しているマイケル・ファズベンダー、ザビーナには若手ながらアカデミー賞ノミネート経験のある実力派のキーラ・ナイトレイ、グロスはこちらもクロ監督の前作「イースタンプロミス」にも出演していたヴァンサン・カッセル、ユングの妻役にはカナダの新鋭サラ・ガドンがキャスティングされている。 以下あらすじ 1904年、チューリッヒの病院に激しいヒステリー症状を呈する若いロシア系ユダヤ人の女性が連れてこられる。 彼女の名はザビーナ・シュピールライン。 担当したのはその頃新進の精神科医だった、カール・グスタフ・ユングだった。 ユングは当時傾倒していたオーストリア人医師のジグムント・フロイトの提唱する談話療法をザビーナに試す。 するとザビーナは、4歳の時に父親に折檻された時に快感を覚えて以来、屈辱を受けるたび快感を覚えると告白、自分を汚らわしい人間だと決め付ける。 ユングが談話療法を続けながら、元々医師志望だったザビーナに自らの研究を手伝わせると、ザビーナは、試しに被験者となったユングの妻エンマの精神状態を鋭く分析してユングを驚かせるのだった。 談話療法によって劇的に改善したザビーナについてフロイトと文通を続けていたユングは、ある日妻を伴ってウィーンにフロイトを訪ね、そこで二人は意気投合する。 しかしこの頃すでに、ユングの中にはザビーナに対する特別な感情が芽生えていた。 折りしも、フロイトはユングに、自身の弟子である破天荒な精神科医オットー・グロスの治療を委ねる。 グロスは「衝動に身を任せろ」とユングをけしかけ、ユングは遂にザビーナと越えてはならない一線を越えてしまうのだった。 とにかく専門用語が飛び交うこの映画。 いくらかなりとも心理学か精神医学の知識がないと、字幕を読んでも言われている事が良く理解できない。 少なくとも、ユングとフロイトに関してちょこっとくらいは予習をして行ったほうが良い。 映画を見た限りでは、二人の主張には元々相容れないところがあったようだ。 やがてフロイトはユングを後継者とするが、それはユダヤ人である自分が提唱している精神分析療法がまだ世に認められるに至らなかった当時、権威ある大病院の医師でしかもアーリア人のユングが自分の主張を認めてくれたことが心強かったからだろう。 この映画ではそんな二人の微妙な人間関係を描いているが、さっきも書いたように会話が専門的過ぎる上、この二人に関しては表現が淡々としているのでドラマチックな盛り上がりに欠ける。 この映画で特筆しなければならないのは、多くの映画評やユーザーレビューにも書かれているように、なんと言ってもザビーナを演じたキーラ・ナイトレイの怪演だろう。 キーラのことを「パイレーツ・オブ・カリビアン」や「プライドと偏見」くらいでしか知らない人は、この映画のキーラにはきっと度肝を抜かれたはずだ。 私は「ドミノ」で現代の賞金稼ぎを演じたのを見た頃から、キーラはリスクを厭わないチャレンジ精神のある女優だなと思っていたけれど、それでもこの映画でのキーラにはびーっくりした。 このような美人女優がこんな怪演をするのを見たのは、イザベル・アジャーニの「ポゼッション」以来だ。 キーラは元々ちょっと顎がしゃくれたところがあるが、この映画で最初にユングの治療を受ける際に言葉を発しようとするザビーナの下顎が、人間エイリアンかと思うくらいに異常に突き出るのだ。いやあ、凄かったあ・・・。 因みに私は、人間の顎があんなに前に突き出るものかと思って試しに家に帰って鏡の前でやってみたけれど、顎が外れるか顎関節症になりそうで、キーラの半分も出なかった。 あれはもしかしたら特撮だったのだろうか? これは監督の要求に答えての事だったのだろうか。それとも役作りの際に、このような症例の患者を見たのだろうか。 しかも、ユングと関係を持った後には、ユングにビタビタお尻を叩かれるシーンまである。 これに関して監督は、「ザビーナのセクシャリティにおけるマゾヒズムは事実に即するものだし、脚本でもそれは要だった。彼女はユングを誘惑するためにもそれを使ったのではないか。ユングの方はそれを楽しんでいたとは言い難い。彼は彼女のためにそれを行ったわけで、その関係はとても興味深いと思う。」と言っている。 この映画はジョン・カーという人が書いた原作を、クリストファー・ハンブトンが戯曲化した「The Talking Cure」という舞台を映画化した作品だが、調べてみたら元になったのは「ザビーナ・シュピールラインの悲劇 フロイトとユング、スターリンとヒトラーのはざまで」という本だそうだ。 元々ザビーナの存在は1977年にジュネーブで偶然彼女の書いた日記と手紙が大量に発見されるまでは知られていなかったらしい。 イタリアのユング派精神分析家アルド・カロテヌートが、それらの資料に「秘密のシンメトリー」と題した一文を付して、80年にイタリアで出版した本が欧米で反響を呼び、ザビーナの存在が広く知られるようになったと言う。 サビーナとユングの書簡の中には、自分にもっと屈辱を与えて欲しいといったザビーナからユングへの要求も書かれていたが、ユングがそれに答えて縛ってお尻を叩いたといった事まで書かれていたわけではないらしい。 クリストファー・ハンプトンがこのようなシーンを書き入れたのだろうか。舞台でもこのようなシーンがあったのだろうか。 この映画にはクローネンバーグ監督特有の、エグい暴力描写や気味の悪いクリーチャーなどは一切表れない。 ただ思うに、この監督はどこかに普通でない表現を入れないと気がすまないところがあるのかもしれない。 同じデビッドでも、本人自身がエキセントリックなデビッド・リンチと違い、クローネンバーグ監督は適度にユーモアのセンスがあり非常に理知的で、頭の中に妄想が渦巻いているような人にはとても見えない。 今回の映画は画面も衣装もため息が出るくらい美しかったが、この監督は元々作品をリアルに撮ろうと思っているわけではない。「イースタン・・」でナオミ・ワッツがバイクに乗るシーンでもそうだったが、今回もフロイトとユングが船でアメリカに着くシーンは露骨に合成しているのがわかる。 クローネンバーグ監督は映画の虚構性の中に、人間世界の闇の部分を投影しようとしているのかもしれない。 でも、キーラが演じたこれらのシーン、私はなんだか笑っちゃいましたが・・。 まあ、どうしてもそこに目が行きがちになってしまうのがこの映画の欠点かな、とも思った。 この映画はクローネンバーグ監督の作品の中では「戦慄の絆」「クラッシュ」「スパイダー」などの系列に含まれると思う。 クローネンバーグ監督はプロデューサーも兼ねて撮った「スパイダー」が興行的に失敗して破産寸前に追い込まれ、それに懲りて、それまでとは傾向が違うけれど興行収入の見込めそうなマフィアの映画をヴィゴ主演で2本撮った。 でもいくら興行的な成功が見込めなくても、やっぱりこういう映画を撮りたくなるらしい。次回作の「コズモポリス」は原作を読んだ限りではちょっと「クラッシュ」みたいな感じに思える。 因みに、確実に稼げそうな「イースタンプロミス」の続編は、クランクインの直前にスタジオ側から待ったが掛かって中止になった。 同じようにマゾヒスティックな欲望を隠して生きる女性を描いた映画に、ミヒャエル・ハネケの「ピアニスト」というのがあるが、あの映画はラストシーンが衝撃的で笑うどころではなかった。 わけの判らない怖さを演出させたらハネケ監督は超一流だが、クローネンバーグの作品には怖さの中にも隠し味的なユーモアがある。 ハネケ監督の映画は、見たら嫌でも後に残るが、クローネンバーグ監督の映画は見ているときはげげっと思っても案外後には残らない。 そういう意味では、クローネンバーグはあくまでエンターテイメントを追及しているのかな、と思う。 元々ザビーナは裕福なユダヤ人の家庭に育ち、頭も良く、ユングの手を借りて論文も書き上げる。 ただ、この映画ではザビーナとユングが分かれた決定的な原因がどうも良くわからなかった。 「秘密のシンメトリー」「ザビーナ・シュピールラインの悲劇」にはそのあたりの経緯も事細かく書かれているようで、ネットでもその内容に触れたサイトがいくつもあった。 それによるとユングの妻のエンマがザビーナの母親にユングとザビーナの関係を明かした匿名の手紙を書き送り、それに驚いたザビーナの母がユングに医師が患者とそのような関係になるのは患者の回復の妨げになるといった主旨の手紙を書くと、ユングは、治療費を貰っていないのだからザビーナは患者ではない、患者というのなら治療費を払って欲しいと開き直り、その後もだらだらと関係を続ける。 ところがザビーナがユングとの間に子供が欲しいと言ったら、今度は「君は母親となるためではなく自由恋愛のために生まれてきた女性の一人だよ」などと言うのである。 ザビーナは結局ユングの元を去り、今度はフロイトの元で論文を書く。(これは映画の中でも描写されている) そしてユングもフロイトも、シュピールラインの論文から重要なインスピレーションを与えられたと言われている。 これを読んで思い出したのが、カミーユ・クローデルとロダンの関係。 カミーユも若くしてロダンの弟子になり、程なく愛人になってロダンの作品製作の多くに関わるが、ロダンは妻と別れることが出来ず、カミーユは次第に精神の均衡を失い、とうとう精神病院に収容されそこで生涯を閉じる。 ユングもロダンも知名度は高いが、女の立場からすると、どう考えてもバカヤローな男たちと言いたくなるような人格だ。 (ユングには逆転移が起こったという説もあるが、そもそも逆転移というのがどういったことなのか、ネットで説明を読んでも良くわからなかった) ザビーナはこの後結婚してロシアに戻り、精神医学の世界で優れた業績を残すが、第二次世界大戦中ナチスの侵攻により子供ともども殺害される。 ネットで得た情報によると、ザビーナとユングとフロイトの関係には非常に微妙な問題がたくさん含まれていて、そのあたりは映画を見ただけではどうしても捉えにくい。 そういう意味では、この3人の物語は見る物語ではなく読む物語なのではないかと思った。 クリストファー・ハンプトンはラクロの書簡小説「危険な関係」の映画のシナリオも書いているが、こちらも映画より小説の方が面白かった。 ハンプトンはこういった本を戯曲化したがるタイプの脚本家なのかもしれないが、生意気な事を言わせて貰えば、あまりそれが成功しているとは言い難い。 ただ、読みたくても「秘密のシンメトリー」は現在絶版で、中古で15000円近くするし、」「ザビーナ・シュピールラインの悲劇」は5250円とこちらもお高目。 まあ、そのうち図書館で借りて読んでみましょう。 フロイト役は当初「イングロリアス・バスターズ」でアカデミー助演男優賞を受賞したクリストフ・ワルツがキャスティングされていたのだけれど、ワルツが他の映画に出演するので降板したためヴィゴに話が廻って来た。 最初は自分にフロイトは出来ないと断ったらしいが、監督に説得されて出演を決めた。 って言うか、ヴィゴのクローネンバーグ愛は半端じゃないから、クロ監督に説得されたら何だってやる、んじゃないかな? だって、一時期ヴィゴはクロ監督にプロポーズされたら結婚しちゃうんじゃないかと思ってたくらいだったから、私。 その後彼女が出来たって話が出た時には、正直ちょっとほっとした。 今回も、相変わらずフロイトの本を読みまくり、生家を訪ね、葉巻の銘柄まで調べて役作りに励んだようで、蓋を開けてみればものの見事にフロイトに変身していて、全くカメレオン俳優の面目躍如といった感じだった。 なにしろ、カラーコンタクトで目の色まで変えて、ずいぶん老けた感じに作っているようにみえたけれど、実際この頃のフロイトってヴィゴと同年代なのよね。 そしてユングとフロイトの年齢差も、ちょうどマイケル・ファズベンダーとヴィゴの年齢差と同じくらい。 でも、これはファンの贔屓目でもなんでもなくて、普段のヴィゴは実年齢より若く見えるので、マイケル・ファズベンダーとそんなに年が離れているとは思わなかった。 以下は10月20日、ヴィゴの誕生日に合わせて2日間だけ特別公開された「危険なメソッド」の公式サイトのトップページの画像です。 渋いっ!! マイケル・ファズベンダーも「プロメテウス」に出演していた時の、ブロンドのアンドロイドとは見違えるような、学級肌の渋い人物を好演していたけれど、一度めがねを外すシーンがあって、その時、ああ、やっぱりこの人美しいなあ、と思わず見惚れてしまいました。 「彼の身のこなしや言葉遣い。マイケルは本当に素晴らしい、美しくも繊細な演技。マイケルのもつ幅を人々に気づいてほしいんだ」と監督も大絶賛。 でも今回の映画の主役は著名人の二人ではなく、原作の示すとおりザビーナ・シュピールラインであり、それを演じたキーラでしょう。 映画のラストに流れるクレジットも、キーラの名前がトップに書いてあった。 そして、エキセントリックなザビーナに対して、ユングの妻エンマを演じたサラ・ガドンのノーブルな美しさや穏やかな雰囲気の演技も印象的だった。 また、「イースタン・プロミス」に続きクローネンバーグ作品に出演したヴァンサン・カッセル。 クローネンバーグが続けて同じ俳優を使うこと自体珍しいのだけれど、「イースタン・プロミス」の出演者から二人も使っているのは、よっぽど「イースタン・・」が気に入っていたからなんじゃないのか。 返す返すも、「イースタン・・」の続編の制作が中止になったのは残念な事です。 今年は正月早々「善き人」が公開され、10月にはこの映画も公開され、ヴィゴファンにとっては「イースタン・プロミス」と「アラトリステ」が公開された2008年以来、4年ぶりのラッキーな年となりました。 なにしろ去年は何にも公開されなかったから。 ただ、今回の映画のヴィゴはあまりにも渋すぎる。それにやっぱり目の色は青いほうが素敵。 まあ、憂い顔で煙草を燻らせる大学教授や、いつものワイルドさと一味も二味も違うナチスの制服姿が新年早々見られたと言うだけで、今年は良しとしましょう。 来年、もう既に撮り終わっている「オン・ザ・ロード」と「Todos tenemos un plan」が両方とも公開されますように 参考にしたサイト ザビーナ・シューピーるラインの人生とユング 1 2 3 4 シュピールラインとユング 映画 A Dangerous Method 原作紹介 ユングが嫌いになる一冊 『危険なメソッド』キャストの完璧な三角関係 ※下記の広告はExciteの営業活動の一環として掲載されるもので、主催者が載せているものではありません
by chiesan2006
| 2012-11-04 12:09
| 映画
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