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2007年 01月 30日
何ヶ月か前、「スマステーション」で世界で活躍する日本人女性という特集をやっていて、その時ワシントンで警官をやっている女性が紹介されていた。その人は離婚してシングルマザーになったためギャラの高い警官という仕事を選んだそうだ。小柄でとてもそのような仕事に適しているようには見えないのだが、同僚の男性曰くトラブルを治めるのがとても上手いと話していた。志の高い人で、この仕事にやりがいを感じているので是非昇進したいとおっしゃっていた。
処女作「あなたに不利な証拠として」でアメリカ探偵作家クラブ賞最優秀短編賞を受賞して鮮烈なデビューを飾ったローリー・リン・ドラモンドもそうした女性警官のひとりだった。ルイジアナ州のバトンルージュで6年間勤務した後交通事故に遇い退職、その後12年掛けてこの小説を書いた。 女性のミステリー作家や元検事や弁護士、警察官などの書いたミステリー小説は多いが、元女性警官の書いたミステリーと言うのは極めて珍しいのではないだろうか。元検死局に勤めていたパトリシア・コーンウェルがデビューした当時そのリアルなモルグの描写に圧倒されたが、この小説にも元警察官にしか知りえない事件現場の生々しい様子が写実的かつ鮮烈に描写される。 小説の第二章「味、感触、視覚、音、匂い」でこの作家はかつて無いほどのリアリティーで警察官の職務の現実を読むものに突きつける。先の女性警官が日々このような現実に立ち向かい、尚意欲を失わないと言うのであればそれは驚嘆に価する事だ。 小説は五人の女性警官を巡る物語が10のセンテンスに分かれて描かれるが、それぞれが全く独立している訳ではなくいくらかの関係を持ちながら話が進んで行く。長さにはばらつきがあり最後のサラにまつわるセンテンスが一番長くほとんど中篇と言って良い位の長さがある。 そのセンテンスで女性警官たちは非常に厄介なトラブルに見舞われるが、その原因となる出来事は男性警官を巡る小説ではあり得ない女性ならではの発想に基づく。 女性警官たちは女性を巡る過酷な現実に立ち向かうため、女性が殺害された現場で深夜「集い」と称する集会を開く。もちろん男性には秘密裏に。そこで彼女達は円陣を組み担当者から事件の詳細が語られ、被害者に黙祷が捧げられる。 男性からしてみれば魔女の集会とも取られかねないような行為だが、彼女たちは極めて真剣だ。 「死を飼いならそうと、わたしは来る日も来る日も直面させられる人間の険しい苦難の整理法をいろいろ試してきた」とサラは言う。そして「集い」に誘われるのだが、それが自分にとって極めて有効なことに気付く。 最終章で、夫に惨殺された女性の殺害現場での「集い」で、同僚のグウェンがとんでもないミスを犯し、その事件はやがてサラを退職へと導いていく。 アメリカミステリー界の重鎮エルモア・レナードに「今後彼女の書いたものはすべて読む」と云わしめ、評論家池上冬樹氏に「読みながら何度も心が震えた」と絶賛された本書。女性ならではの細やかな心理描写と緻密でかつ生理的な犯罪現場の描写が入れ子細工のように絡まりあう、全く新しいタイプの警察小説と言えるだろう。 表題の「あなたに不利な証拠として」はアメリカの警官が犯人逮捕の際に告知を義務付けられている「ミランダ警告」の一部。 最後の章で、「ブラック・ダリア」ばりの惨殺死体の描写が出てくるので、そういう表現が苦手な方にはお薦め出来ません。
by chiesan2006
| 2007-01-30 00:28
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