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2007年 05月 03日
以前にも書いたけれど、私は「ハンニバル」の本は読んだのだが、映画は怖くて観に行けなかった。怖い話を読むのは案外平気なのだけれど、観るのはかなり苦手で。でも今回、地上波ではあまり刺激の強いシーンはカットされているかなと思って観てみたら、やはり例の一番気持ちの悪いシーンはカットされていて、おかげで最後までちゃんと観られた。でも、そのシーンをカットしたおかげで、最後のシーンの不気味さは半減してしまったが。 トマス・ハリスのこのシリーズ、最初に読んだのは「羊たちの沈黙」だった。映画が公開されたから読んだのか、本が評判になったから読んだのか定かでないが、本を読んだ後にビデオを借りて、一応映画も観た。 この話、映画にしろ小説にしろ、サイコキラーとかシリアルキラーとかいわれる人間が登場する先駆けとなった作品なのは間違いないだろう(もっとも60年代には「サイコ」や「コレクター」などという傑作があるが)。この後、映画では「セブン」、小説ではパトリシア・コーンウェルの「検屍官」なんかがずいぶんヒットしたし、ジェフリー・ディーバーの「ボーン・コレクター」は映画も小説もヒットした。 「羊たちの沈黙」を読んだらトマス・ハリスの文章にすっかり引き込まれてしまい、続けて前作の「レッド・ドラゴン」も読んでしまった。私としてはこちらの小説のほうがずっと印象に残った。ハリスは主人公の男がサイコキラーになっていく様を、まだ幼児の頃から克明に描いていて、私はその書きっぷりにすっかり感情移入してしまい、このサイコキラー男に思わず同情心すら感じてしまったほどだった。 その「レッド・ドラゴン」では脇役に過ぎなかったハンニバル・レクターが、しだいに存在感強め、遂に3作目では主役の座に躍り出た。 天才的な頭脳を持ちながら、顔色ひとつ変えず、次々と残虐に人を殺し、その肉を屠ることさえ厭わないハンニバル。その上レクターは、深い教養と、貴族的な雰囲気さえ身に纏っている。トマス・ハリスが生み出した、かつて小説の中に存在したことのないその特異なキャラクターが、人気の所以だろう。 そして今回、物語は過去に遡って、ハンニバルの深い心の闇に肉薄する。そういう意味では「レッド・ドラゴン」に近い。 ここからはネタばれありです。 「ハンニバル・ライジング」はリトアニアの貴族レクター伯の一人息子、8歳のハンニバルとその幼い妹ミーシャの平和な日常の描写から始まる。 時代は正に第二次世界大戦の最中。一家はやがて居城を追われ、山中のロッジに隠れ住む。しかし、そこもやがてナチスとソ連軍の戦闘に巻き込まれ、両親も使用人も死亡。取り残された幼い二人は、ソ連軍に追われる数人のナチスの協力者に捕らえられてしまう。 今回の作品、今までとはだいぶ趣が異なる。今までの作品のような犯人対FBI、レクター対クラリスといったミステリー感覚の内容というより、家族を殺されたハンニバルの復習の物語になっている。ハリスの筆は、早熟の天才ではあったものの、家族の愛に包まれ、人間らしい情愛を持った普通の少年だったハンニバルが、何ゆえ怪物に変化してしまったかをつぶさに描いていく。 そして驚いた事に全編を貫く日本趣味。ハリスがこんなに日本贔屓だとは知らなかった。ハンニバルを引き取った叔父の妻が日本人で、その名は紫。紫式部から取ったそうな。ハンニバルはたちまちその義理の叔母に魅了されてしまうのだ。そういえば確か「レッド・ドラゴン」も、主人公が東洋の龍の絵に触発されるんだった。 和歌や習字や墨絵や生け花、それから神棚に日本刀に鈴虫まで鳴かせちゃって、ここまでいっちゃうとなんだかちょっとなあ。ともあれハリスは日本の事は凄く良く勉強している。普通の日本人はちょっと知らないことまで書いてあった。「源氏物語」や与謝野晶子や宮本武蔵の名前まで出てきて、外人には判らないんじゃないかと思う事がいろいろ。解説者は「本書をいちばん味読できるのは、われわれ日本の読者だと言って過言ではない」なんて言っているけれど、どんなもんでしょうか。 ともかく物語の中で、ハンニバルは次々と復讐のために敵を殺していくが、この小説の中では完全に殺される側に非がある。ハンニバルの復讐の相手は大戦中はナチスの協力者で、現在は善人の仮面をかぶっているが、実は大戦中に略奪した美術品や人間まで売買しているような輩だ。そんな奴らを次々と殺害していくハンニバルは、殺人鬼というよりむしろヒーローだ。 最後にフランス人の警視に逮捕されるが、事情を知った民衆の釈放運動まで起こって釈放されてしまう。 ところが最後の敵と対峙した時、思いがけない事実を知らされ、それがハンニバルを「人間」から「怪物」に変える。紫婦人の愛情も、それを止める事は出来ない。これ以後の物語の中で、ハンニバルは全き悪人でない人間でも、自分と敵対すればなんの感傷もなしに殺害する殺人鬼に変貌する。 物語の終盤、「紫夫人はハンニバルの中で起きている変化をいち早く読みとった。彼の目の裏側では何かが欠けていた。」 「ハンニバルは心の長い冬に踏み込んでいたのだ。ベッドでは熟睡し、人間と違って悪夢に襲われることもない」 かくして怪物ハンニバルは誕生する。 ところで映画ではハンニバルをフランスの新鋭、ギャスパー・ウリエルという俳優が演じている。そして紫夫人は中国人のコン・リー。ここまで日本趣味を貫くんだったら、日本人女優に演じて欲しかったけれど、それでは誰がいいかと言われても、こんな役柄ふさわしい人は思いつかない。 コン・リーねえ。納得できないけどしょうがないか。 映画は未見だけれど、今月は他に観たい作品が一杯。「クィーン」もまだ観てないし「バベル」も観なくちゃならないし「スパイダーマン3」も劇場で見たほうがいいようだしで、この作品はどうやらDVD待ちになりそうだ。
by chiesan2006
| 2007-05-03 01:26
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