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2007年 07月 05日
「プレステージ」は映画を先に観てから原作を読んだのだが、こちらは先に原作を読んで、こんな内容の作品が一体どんな映画になっているのか興味津々になり、上映しているところを探して観に行った。
結論から言うと、すんごく面白かったあ。 実を言うと最近目が悪くなったせいか、暗い館内で字幕を読んでいて展開がちょっとダラダラしたりすると、すぐに眠くなってしまって困るのだけど、この映画は最後まで画面を食い入るように観てしまいました。 もともとコスチューム映画は好きなのだけど、先日書いたようにこの映画を観た友人が、なんか微妙な映画だったと言ったので、だったらDVDレンタルになってから観ればいいか、とちょっと敬遠してしまった。 でも、名画座で上映しているところがあって良かった。この映画は劇場で観るべきでした。 「プレステージ」もセットや衣装は素敵だったけど、この映画はそれを上回る出来でした。ポスターも美しくて、どこかの化粧品会社の香水のポスターといっても良いくらい。 それに「プレステージ」は監督の意向に沿って原作をかなり改変していたけれど、この映画は多少の脚色はあるものの、ほとんど原作に忠実に作られていて、監督の原作を尊重する思いが伝わってくる作品になっていた。 ドイツ人作家パトリック・ジュースキントが書いたこの原作、スピルバーグやスコセッシも狙っていたらしいけれど、結局は製作国がドイツ・フランス・スペイン、舞台はフランス、監督はドイツ人のトム・ティクヴァ、脚本家の一人にジェーン・バーキンの兄のアンドリュー・バーキン、主演男優はイギリスの若手俳優ベン・ウィショー、音楽はベルリンフィルと、ヨーロッパ映画界の威信を掛けて作られた作品になった。 映画の冒頭、原作で「18世紀、悪臭に満ちたヨーロッパの町の中でも特に悪臭の酷かったパリ」と書かれているパリの市場の猥雑な雰囲気や、魚を売る台の下で、魚くずにまみれて生み落とされる赤ん坊のシーンにいたるまで、そのリアルな描写に監督の徹底したこだわりを感じて圧倒される。 そして化粧に鬘をつけて登場するダスティン・ホフマンの大きな鼻は、正に香水調合師にぴったり。 映画の内容は先日紹介した原作本「香水」の内容とほとんど変わらない。 この映画で興味があったのは、匂いをどのように表現するのかという点。とにかく原作はパリの悪臭に始まって、自然の中の花や木や空気、それから香水の馥郁たる香りと、匂いに関する描写が満載。文学とは元々人間の周りの事象をことごとく文章で表す作業だけれど、映画は眼に映ったものと耳に聞こえる音には強くとも、香りを表現するのは難しいだろう。果たして映像で匂いをどのように観客に感じさせるのか、興味のある所だった。 その点トム・ティクバがまずこだわったのは、見た目のリアリティ。とにかく汚いものから美しいものまでリアルに表現することで、観客にそのものの放つ匂いのイメージを喚起させようとする。 それからアップの多様。匂いを放っている物自体のアップ、それからその匂いを感じているグルヌイユの表情、特に鼻のアップ。 そしてその匂いの足跡をたどるように移動するカメラ。 こういったテクニックを駆使することで、観客を摩訶不思議な香りの世界に誘う。 そして更に、それに被さるように流れるベルリン・フィルの奏でる甘美で圧倒的な音響効果。素晴らしい。 と、とにかく途中までは・・・。 ところがラスト近くに突然あの話題のシーン。全裸で愛を交わす、男女の大群衆。 もし、原作を読まないであのシーンを観たら、さぞかし「えーっ!!! 何なんだこれは!!!!!!」とびっくりしたに違いない。原作に比べいささか唐突な感があるのも否めないし、その辺の演出はもう一工夫欲しかった。 でも原作を読んで免疫が出来ていたせいか、あの大群衆は壇上に立つグルヌイユの背景のように感じて、それほど目がいかなかった。 それにしても、話題の映画とは言え、よくもまあこんなシーンに参加しても良いなんていう老若男女を、こんなに集めたよねえ。日本だったら絶対無理でしょう。(と思ったら、これはバルセロナを中心に活躍する舞踏団の面々だとか。エキストラではないそうです。そりゃあそうだよねえ) 唯一原作と大きく違う点は、処刑台に立ったグルヌイユが、香水を沁み込ませたハンカチを振ると、その香りに群集が陶然となるのを目にして、一瞬顔が喜びに輝くのに、その後人々が愛し合う姿を見て、自分が欲していたものが何であったか気付くというところ。 愛を知らずに育ったグルヌイユが心から欲していたのは女性に愛される事だった。わかりやすい結論だが、このみじめで奇矯な人生を送った主人公を、身近に感じられる瞬間、切なさを共有出来る瞬間だった。 映画の終盤で語られる、「この香水を持ってすれば法王さえもひれ伏し、世界を支配できるだろう」というナレーション。人間にとって究極の香水とは最強の媚薬だという事でしょうか。 そして最後にグルヌイユは自ら下した決断によって、文字通りこの世からきれいさっぱりいなくなる。このシーンもう少しグロい感じになるのかなと思ったら、案外さっぱり終わってくれて良かった。城卓也の「骨まで愛して」(昭和41年に大ヒットした歌謡曲の題名)じゃないけど、最後の最後に骨まで愛され消えてゆく事を選んだグルヌイユ。その胸中を推し量ると、複雑な思いが込み上げる。 グルヌイユを演じたベン・ウィショーという俳優。非常に印象的でした。プロフィールによると「トレヴァー・ナン演出による『ハムレット』で新解釈の刺激的なハムレットを演じ、批評家の絶賛を浴びる」とあるが、この舞台を観たトム・ティクバがこの作品の主人公に抜擢したらしい。とにかく凄い才能と感受性を感じさせた。 終始悲しそうな顔をしていて、もうがりがりって言っていいほど痩せてるんだけど、眼の光が凄く強くて、グルヌイユに成り切ってた。 並外れた嗅覚によって人々から隔てられ、と同時に強さを与えられ、最後に絶望に追い込まれる、そんな自身ではどうにもならない宿命に翻弄されたジャン・バティスト・グルヌイユという青年の悲哀を、ベン・ウィショーの演技はものの見事に体現していた。 この人、過去にダニエル・クレイグの「ザ・トレンチ」や「Jの悲劇」「レイアー・ケーキ」にも出演している。これ全部観たけど全然気が付かなかったなあ。だとしたら「ザ・トレンチ」ってなかなか凄い映画って事になる。だってジェームス・ボンドになるダニエル・クレイグ、「麦の穂を揺らす風」のキリアン・マーフィー、それからこのベン・ウィショーと後に話題になる俳優がたくさん出演している。 それにしては主演のケーリー・グラントみたいなハンサムな青年は、あまりぱっとしないけど。今時は昔のハリウッド風ハンサムより、個性派の方が売れるってことなんでしょうか。 話を映画に戻すと、私としてはあの裸の大群衆のシーンより、グルヌイユが最初の殺人を犯した後、娘を裸にしてくんくんくんくん体中の匂いを嗅ぎまくり、最後に匂いを手でかき集めてまで嗅ぐシーンの方が強烈な印象だったな。 とにかくこの映画グロいと評判になったけど、グロさの中にも美しさがあるんですよ。だって「美は乱調にあり」って言うじゃないですか。
by chiesan2006
| 2007-07-05 23:15
| 映画
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