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2007年 07月 25日
今月の始め頃、allcinema onlineのヘッドラインを読んでいたら、デニス・ルヘイン原作「愛しき者はすべて去りゆく」(原題「Gone Baby Gone」)の映画化、予告編登場!というニュースが挙がっていた。
ルヘインといえばあのクリントイーストウッドが監督し、ショーンペンにアカデミー主演男優賞をもたらした傑作ミステリー(原作が)「ミスティック・リバー」の原作者。 そして今回映画化されたのはそのルヘインがデビュー当時から書いている、探偵パトリック&アンジーシリーズの4作目。 注目すべきは、監督がこの映画が初監督作品となるベン・アフレックだという所。そして主演のパトリックを弟のケイシー・アフレックが演じている。 ベン・アフレックに俳優の弟がいたという事は初めて知ったけれど、予告編を観た限りでは私が描いていたパトリックのイメージに結構近くていい感じにみえた。この人、どうやら「オーシャンズ」シリーズに3作とも出演しているらしい。 ただし原作で黒髪のイタリア系で、とびきりの美女と書かれているアンジーが、「キスキス・バンバン」のミッシェル・モナハンというのはちょっと納得出来ないな。別にミッシェル・モナハンが嫌いという訳ではないし可愛いとも思うけど、とびきりの美女という訳ではねえ。 確かこの本は買った覚えがあるぞと、ちょっと机の上を見たら、ブックオフで買い込んだ本の山の中に埋もれているのを発見(いつもブックオフばかりで、ルヘイン様ごめんなさい)、早速読んでみた。 「ミスティック・リバー」には「幼なじみ」と「児童の虐待」という二つのテーマがあったけれど、これと時期を前後して書かれたこの作品にもこれと共通のテーマが描かれている。 以下ネタばれです。 ボストンで私立探偵業を営むパトリックとアンジーはジュニアハイスクール時代からの幼なじみで、現在は恋人兼仕事のパートナーだ。二人は2年前、生命の危険にさらされながらも、ある重大な事件を解決したのだが、それ以来危険な仕事は避けてきた。 現在、ボストンはある少女の失踪事件で騒然としていた。少女が自宅から忽然と姿を消し、80時間以上が経過するが何の手がかりもないのだ。ところが、その少女アマンダの伯父ライオネルと伯母のビアトリスが二人の噂を聞きつけ、アマンダの捜索を依頼しに訪れる。 最初は渋っていたパトリックとアンジーだが、ビアトリスの熱心さに打たれ引き受けることにする。 二人は地元警察のCAC(児童虐待犯罪対策班)のプールとプルサードという二人の刑事と共に捜査を開始するが、やがてアマンダの母へリーンが麻薬の密売に絡む20万ドルの現金を仲間と共に着服した事実が判明、その現金と引き換えにアマンダを返すという誘拐犯からの要求が届く。 現金と共に犯人が指定してきた現場に赴く4人だが、そこで銃撃に会い現金を奪われた挙句、アマンダも発見出来ない。 どうにもならない無力感のうちに数ヶ月が経過するが、思いがけないところから事件は新たな様相を帯び始める。 そしてやがて驚愕の真実が・・・・・。 アメリカの推理小説には、性的虐待を含めた児童の虐待をテーマに書かれた作品が実に多い。アンドリュー・ヴァクスの作品などは殆どが幼時の虐待をテーマに描かれている。やはり推理小説大国であるイギリスのミステリーで、こういったことがテーマの作品はあまり読んだことがないので、これはアメリカの現実を如実に反映した現象といえるのではないだろうか。 本作に書かれているデータによると、「アメリカでは毎年80万人以上の子供が行方不明になり、その大部分は戻って来るものの300人の子供は姿を消したまま、二度と戻って来ない」とある。 日本では何年か前に天童荒太が「永遠の仔」で児童の性的虐待をテーマに採り上げた推理小説を書き、センセーションを呼んだ。私は日本の推理小説は時々しか読まないのだけれど、この小説、実の父親による娘への性的虐待という、日本ではフィクションとして書くことさえもタブー視されているようなテーマに挑んだことが、話題を呼んだ大きな要因になったことは間違いないだろう。 しかしながら、昨今の日本の状況はアメリカの状況が対岸の火事とばかり言っていられないほど悪化しているのが、日々のニュースを見ていても感じられる。 ルヘインの小説には子供の頃身近な人間、あるいは赤の他人に虐待され、それが原因で運命を狂わされる人間が少なからず登場する。 「ミスティック・リバー」のデイヴ、「スコッチに涙を託して」のローランド、「穢れし者に祝福を」のデズレイ、これらの登場人物はみな、子供の頃の経験が元で、その後の人生が異様にねじれたものになってしまう。 アンドリュー・ヴァクスは児童虐待専門の弁護士として活動する傍ら、世に虐待の真実を知らしめる意味を籠め小説を書いているらしいが、ルヘインがこのテーマにこだわるのには、どんな理由があるのだろうか。 「スコッチに涙を託して」でプロの小説家になるまで、ルヘインは大学の創作クラスで暗い小説ばかり書いていたそうだ。そんな話を聞くと、それは本人の幼児体験と何か関係があるのかと、思わず考えてしまう。 ルヘインがジェームズ・エルロイに傾倒していた事はかなり知られた話だが、そのエルロイは10歳の時に母が殺害されるという体験が原因で小説を書き始めたと、自らの本の中で語っている。エルロイ流に言えば「母が私に書かせる」のだそうだ。 では、何がルヘインに書かせるのだろう。 ルヘインの小説にはいつも主人公の男性にとっての絶対的な愛の対象である女性が登場する。たとえばパトリックにとってのアンジー、「ミスティック・リバー」のジミーにとってのアナベス、そしてこちらもノンシリーズの「シャッター・アイランド」のテディにとってのドロレス。 それは一体何を意味するのだろう。私はどうしても、それらの主人公にルヘインを重ねてしまう。 だからこそルヘインの小説の根底には本物の切なさがある。傷ついて究極の愛を求める切なさ、求めて得られない切なさが。 今回の作品も「ミスティック・リバー」同様、ラストにカタルシスはない。 それどころか、パトリックとアンジーの間に深刻な亀裂が生まれてしまう。 ルヘインはカタルシスを期待して読む作家ではない。でも、読めば必ずそれ以上のものが得られる。 ところで、今回も二人の怪友、同級生のブッパが登場します。あらゆる武器と爆薬のプロで、命知らず。 でも、今回は珍しく痛い目に遭います。 それ以外にも、ギャングの元締めチーズ、こちらも同級生。 一体どういう学校なんだ。 私の同窓生にはせいぜい、指が何本かない人くらいしかいないのに。 それにしても、ベン・アフレックがどんな監督ぶりを見せてくれるのか、いまから楽しみ。
by chiesan2006
| 2007-07-25 02:26
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