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2011年 09月 10日
2日くらい前、テレビでユニセフ主催の東日本大震災の写真展が有楽町の東京国際フォーラムで開催されているというニュースが流れたので、金曜日に見に行った。 久しぶりに有楽町まで行ったのだから、駅前のイトシアで上映されているロマン・ポランスキーの「ゴーストライター」でも見ようかと思ったけれど、金曜日はサービスデーでもないし、1800円払って映画を観るのはもったいないというけち臭い根性が頭をもたげ、結局シネマイレージが6回たまって無料で観られるシャンテで、アカデミー賞とゴールデングローブ賞の外国映画賞をダブル受賞したデンマーク映画の「未来を生きる君たちへ」観る事にした。 この映画を撮ったデンマークの女性監督スサンネ・ベアの作品はマッツ・ミケルセンが主演した「しあわせな孤独」と「アフター・ウェディング」の2作を観た事があったが、今回調べてみて何ヶ月構えにDVD鑑賞した「マイ・ブラザー」も、この監督の「ある愛の風景」のハリウッドリメイクで、監督自身が脚本を書いていることを知った。 北欧の映画監督といったら、過去にはスウェーデンのイングマール・ベルイマンが世界的には有名だったけれど、その後の世代では同じくスウェーデンのラッセ・ハルストラム、ファインランドのアキ・カウリスマキ、デンマークのラース・フォン・トリアー、さらにその次の世代として女性でありながら最近とみに注目されているのが、このスサンネ・ベア監督なのではないだろうか。 この監督の映画2本と脚本作品1本を観た限りでは、この監督の映画はあまり軽い気持ちで観られるような作品ではなく、今回も、予想通りずっしりと何かを突きつけられるような重い内容の映画だった。 中心となるのは小学校の高学年くらいの二人の少年と、少年たちの家族。 少年たちの一人は最近母親を癌で亡くし、父親と共におばあさんの家で暮す事になるクリスチャン。 もう一人は、クリスチャンが転校した学校で、少し前にスウェーデンから転校して来ていじめにあっている、エリアス。 デンマークでもやっぱりいじめはあるらしい。 そういえばスウェーデン映画の「僕のエリ」でも、主人公のオスカーはいじめられていた。 子供のいじめは万国共通、大人にとっては頭の痛い問題で、北欧のように世界が羨む高福祉国家でもそれは変わらないという事らしい。 それどころか、デンマークでは大人の間でもスウェーデン人に対する差別があるらしく、間違いなくそれが子供にも影響を与えている。 子供のいじめどころか、北欧でさえも大人の間にもそういった鬱屈した感情が蔓延していて、それがノルウェーでのテロのような事件を引き起こすのだろうか? いじめられているエリアスを助けたクリスチャンは、今度は逆にいじめっこのボスをトイレでメッタ打ちにして警察沙汰になる。 正直言って、多勢に無勢でいじめを繰り返すいじめっ子には、これが一番有効かなとも思ったが、案の定、それ以後エリアスに対するいじめはぴたりと止んだ。 ところが、このエリアスの父親アントンは、医師としてアフリカの難民キャンプに派遣されていて、そこでの暴力の連鎖による悲惨な状況を粒さにみているため、暴力に暴力で対抗する事は断固として容認できないのだ。 その証拠に、アントンは、下の息子が公園でけんかしているのを止めに入り、相手の子供の父親にこっぴどく殴られるのだが、全く抵抗しようとしない。 一緒にいたクリスチャンは、それを歯がゆく感じる。 そのクリスチャンは、口では大丈夫と言っていながらも、母親の死に相当ダメージを受けている。 なぜならクリスチャンの父親クラウスが、ずっとお母さんは助かると言っていたのにも関わらず、母親が死んでしまったからだった。 そこでクリスチャンは母親が死んでしまったのは父親のせいと思い込み、しだいに父親を憎んで反抗し続けるのだが、映画を観た限りにおいては、クラウスには、例えば母親にDVしていたとか隠れて何か非道なことをしていたとかいう事実は全くなく、クリスチャンにここまで反抗されるような非があるとはとても思えないのだ。 要するに、少年は繊細で多感なものであるということを描きたかったのかもしれないが、手の打ちようもなく途方にくれる父親を見て、私は只々、難しい子供を持って気の毒だという感慨しか持つことが出来ず、クリスチャンの過剰とも思える反抗に関しては、些か描きこみ不足の感が否めなかった。 この映画は一方で、アフリカの難民キャンプの状況を、アントンの目を通して描いてもいるのだが、ビッグマンという残虐なリーダーの元、武器を持った男たちの集団が、胎児の性別を賭けて、面白半分妊婦の腹を割くと事件が頻発していた。 と、ここでちょっと話は飛ぶけれど、このスサンネ・ベアという監督さん、映画の中に国際貢献の話題を持ち込むのがとても好きだ。 「アフター・ウェディング」では主人公の男性はインドで孤児を救済する仕事をしていたし、「マイ・ブラザー」(オリジナルでは「ある愛の風景」)では兵士としてアフガンに派遣される(たぶん多国籍軍)男性を描いていたし、この映画でアントンは医師として難民キャンプに赴いている。 デンマークではそれくらい国際貢献という事に関心が高いという事なのか、監督自身が関心があるのかわからないが、紛争や貧困にあえぐ途上国と世界でも有数の北欧の高福祉国家デンマークを対比、あるいはリンクさせる事によって、作品により普遍性をもたせることには成功していると思う。 ただ、派遣国が被派遣国を、あるいは援助国が被援助国を描く時には、少なからぬデリカシーが必要なのではないだろうか。 例えば、「マイ・ブラザー」ではタリバンに捉えられた主人公が、長期間幽閉された挙句、釈放を条件にもう一人の捕虜を殺す事を強要される。 別にタリバンの肩を持つつもりはないが、実際にこのような事件がアフガニスタンで起こったのだろうか? 同様の事が今回の映画にもいえる。 難民キャンプが悲惨な状況なのはテレビなどで時々伝えられるが、だからといってビッグマンのしているような事が実際に起こっているのだろうか? 援助する立場の国が援助される側の国を、必ずしも事実に即さない映画的な表現で描くのは、いかにも上から目線の所業でなんだか納得出来ない。 尤もこの映画は、途上国の実情に人々の目を向けさせるために作られたわけではなく、アフリカの難民キャンプとデンマークの二人の少年を巡る環境を、暴力の連鎖というキーワードでつなげつつ、それに立ち向かって克服していく人々の姿を描くことに主眼が置かれている。 皮肉な見方をすれば、援助する側の人々が犠牲を払って苦労している様が、被援助国の悲惨さを通して描かれていると言えなくもない。 これは相当へそまがりな見方かもしれないが、「マイ・ブラザー」もこの映画も、見ている間ずっと、そういった思いが頭の片隅にあった。 足に大怪我をしたビッグマンをアントンは医師として助けるが、その後のビッグマンの暴言により、ビッグマンをキャンプの人々の只中に放置し、リンチされるにまかせて見殺しにする。 その後、アントンは良心の呵責に悩む。 でも、このような法も官憲も機能しない環境で、自分たちの身を守るのは自分たちしかないし、裁きを与えるのも自分たちだと人々が思うのは仕方ない事なのではないかと私には写った。 報復の連鎖の渦の中に、自ら飲み込まれたビッグマン。 クリスチャンの暴走は、例のアントンに暴力を振るった男の車に爆弾を仕掛ける所までエスカレートする。 それを引き止める事ができないどころか、却って加担してしまう気弱なエリアス。 でも最後にある事件が起こって、クリスチャンの暴走は止まる。 別居していたエリアスの両親も、この事件をきっかけに縒りが戻る。 その後、つき物が落ちたように子供らしくなるクリスチャン。 人々は戸惑いながらも許しあう。 でも、デンマークの法律は良くわからないが、こんな事をしたクリスチャンが、そんなに簡単に家に帰れるとは思えないし、だいいち、車を爆破された男だって黙っていないだろうとも思ったけれど、そういう事をすべてフォローしていたら映画が終わらなくなってしまう。 映画のラストで、難民キャンプに戻ったアントンの車の後を、屈託なく追いかけてくる子供たちの群れ。 この子たちに、より良い未来が待っているのだろうか? この映画にはアントン、クラウス、そしてエリアスの母親役にそれぞれデンマークのベテラン俳優を配しているが、なんといってもクリスチャンとエリアスの二人の少年が、それぞれの役のイメージにぴったりで、まさに適材適所、その上演技も自然体で、とにかく凄く良かった。 いままで観たスサンネ・ベアの作品の中で私が一番共感を覚えたのは、国際貢献には全く関係ない、4人の男女の関係を繊細に描いた「しあわせな孤独」だな。 それにしても、ラースにしろスザンヌにしろ、デンマークの映画は重い内容の作品が多い。 同じデンマーク映画でも、もう少し軽い味わいだった「イタリア式恋愛マニュアル」が私は結構好きだったけど・・。 冒頭に書いた「東日本大震災の写真展」は主催がユニセフだけに、ユニセフの活動の報告めいた面がないでもなかったけれど、テレビの画面で見るのとは違った緊迫感のある写真も多く、胸に迫るものがあった。 記憶を風化させないためにも、こういった試みをもっと積極的に行ってくれると良いのにと思った。 国際フォーラムでの展示は9月11日までで、その後は各地を巡回するそうだ。 ※下記の広告はExciteの営業活動の一環として掲載されるもので、主催者が載せているものではありません
by chiesan2006
| 2011-09-10 23:47
| 映画
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