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2012年 07月 21日
キネカ大森で台湾映画を2本立て上映していたので見に行った。
そういえば、キネカ大森って中国映画がブームになった頃、アジア映画専門館として盛んに中国映画を上映していたっけ。 その頃はまだ、現在のような韓流ブームも起こっていなかった。 今回上映された映画のエドワード・ヤン監督とホウ・シャオシェン監督の二人は、1980年代台湾映画界の新潮流である台湾ニューシネマを担った代表的な監督と言われる人たちということ。 ヤン監督の「ヤンヤン夏の想い出」には現代の台湾が、シャオシェン監督の「悲情城市」には1940年代の台湾がそれぞれ描かれている。 「ヤンヤン夏の想い出」 2007年に59歳で亡くなった台湾のエドワード・ヤン監督が2000年に撮った映画で、カンヌ映画祭で監督賞を受賞したが、残念ながらこれが遺作となった。 といっても、私はこの監督の映画を見るのは今回が初めて。 原題は「A ONE & A TWO」。 邦題は80年代に公開されて話題になったホウ・シャオシェン監督の、「トントンの夏休み」に拠るのではないかと思われる。 ただ、ヤンヤンが主役の映画というわけではなく、父、母、姉、祖母の家族5人の群像劇となっている。 以下あらすじ 8歳のヤンヤンは、父親のNJ(エヌジェイ)、母親のミンミン、高校生の姉のティンティンと祖母の5人暮らし。 NJは友人とIT関連の会社を経営し、一家は台北の洒落たマンションに住んでいる。 ある日、母親の弟アディの結婚式に出席した一家だが、そこにアディの元の恋人が乗り込んできて、式は散々なことに。 その上、家では祖母が脳卒中で倒れて植物状態になってしまう。 ティンティンは、祖母が倒れたのは、自分が出し忘れたゴミを祖母が変わりに出しに行ったせいではないかと悩む。 しかも元気だった母親まで精神的に不安定になり、新興宗教にのめり込んで家を出て行く。 一方、順調だったNJの会社経営も思わしくなくなり、やり手の日本人プログラマーの大田と契約を交わす事に。 その話し合いのために東京を訪れたNJは、アディの結婚式の日に偶然再会した昔の恋人シェリーに連絡を取り、一日を一緒に過ごす。 その頃ティンティンは、マンションの隣に越して来た同年代の少女のボーイフレンドに、けんかの仲裁を頼まれ何度か会う内にしだいにその青年に引かれていく。 そしてヤンヤンもまた、日頃自分をいじめる少女のスカートがめくれたのを垣間見てしまってから、その少女にほのかな恋心を抱くようになる。 以上のようにこの映画は、ある家族を中心に構成されているものの、その家族同士の関係性よりも、それぞれの恋愛を中心に描かれている。 普通の人々の日常を描いたヒューマンドラマとしては上映時間173分と長尺で、私は2時間くらい見たらちょっと退屈になって、思わず携帯で時間を見てしまった。 観客が退屈するのを慮ってか、ラスト近くには思いがけず殺人事件が起こる。 でも、この文脈でのこの事件はいかにも唐突で、面白いというより何故という疑問のほうが先立った。 つまらない映画ではないが、中国映画の中には見終わった後もっと感動した映画が何本かあるので、私的に採点するなら70点台の後半くらいで普通に面白かったという感じなのだが、この感想を書く前にYahooやallcinemaのレビューを読んだら絶賛している人がたくさんいたのでちょっと戸惑った。 しかも、皆様書いていることがなかなか理屈っぽい。 どうやらヤン監督にはコアなファンが多いようで、調べてみたら、私の苦手な映画評論家で大学教授の蓮見重彦氏もファンの一人らしい。 私は日頃、ミニマムな感じの映画とかテンポのゆっくりした映画は嫌いではないし、この映画にも好きなところはいろいろある。 NJ役のウー・ニェンツェンの肩に力の入っていない演技は、穏やかなこの父親の性格をとても上手く表現していると思ったし、その交渉相手である日本人プログラマーを演じたイッセイ尾形の飄々としたとぼけた味わいも、この役柄によくマッチしていた。 意気投合した二人の間で交わされる会話も、穿った感じでなるほどと思わされた。 それからティンティンを演じた若手のケリー・リーの自然さも好きだったし、好きになった女の子が水泳をしているのを見たヤンヤンが、自宅の洗面台に水を張って息継ぎの練習をするシーンも面白かった。 ただ、その反面、突っ込みたくなるシーンもかなりあった。 例えば、母親のミンミンや、アディの妻と元恋人といった女性陣が泣いたり叫んだりするシーンは、なんだか中国女性の負の側面が強調される過ぎていると感じた。 またアディや、NJの共同経営者らの小太りの男たちの演じる役回りがいわゆる間抜けなお笑い担当と言った感じの、中国映画にありがちなステレオタイプな設定だったり、一家の隣に越してきた母子の行動が妙にエキセントリックだったり、さっきも書いたように、そのボーイフレンドが突然殺人事件を起こしたり、ヤンヤンの学校の先生が、台湾には今時こんな先生がいるのかと唖然とするほど高圧的だったり。 これらのシーンには、この、それぞれのエピソードをじっくり丁寧に描いている映画にはそぐわないような雑さを感じて、私にはとても違和感があった。 また小学生のヤンヤンが父親に、「真実の半分だけを知ることが出来る?」などといったなにやら哲学的な質問をし、買ってもらったカメラで次々と人の後姿を写して、その理由を聞かれると「だって頭の後ろは見ること出来ないでしょう」と言ったりする。 子供と言うのは時々思いがけない事を言って大人を驚かせたりもするけれど、そういうのとこれらのヤンヤンの発言はちょっと質が違うような気がして、これはどう考えても監督が語りたいことをヤンヤンを通して語っているとしか思えず、私はこういう手法はあまり好きではないのでマイナスポイントになった。 私はこの監督の他の映画を見た事がないのでわからないが、この監督の他の映画はどうやらもっと重くて哲学的な内容のものが多いらしい。 この映画に関して監督は「この映画は人生における1+2と同じくらいに、とてもシンプルである。」と言ったらしいが、この映画には微妙なニュアンスを含むシーンも多く、必ずしもシンプルな内容とはいえない。 そのような作品にこのような解説を加えるというところに、この監督の一筋縄ではいかない妙味があるのかもしれず、ファンはそういう所に惹かれるのかもしれない。 この監督の代表作には実話からインスパイアされて作られた「クーリンチェ少年殺人事件」という作品があって、それは現在日本における著作権者の移動などがあってDVD化もされておらず、買うのも借りるのも困難という幻の一品だということで、ニッチなファンも多いらしい。 そう言われると、なんだか妙に見たくなるのが人情。 でも、そのような入手困難な作品はともかく、映画ファンなら借りられそうな作品をいくつか観べきかな、というような事はとりあえず思わされた。 「悲情城市」 1989年ヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞を受賞したホウ・シャオシェン監督の映画。 この映画は20年くらい前にVHSで鑑賞したことがある。 無知な私は、この映画を観て初めて、複雑な台湾の歴史というものを知ったのだった。 今回再見したら、小林綾子似の主役の女の子の顔だけはうっすらと覚えていたものの、それ以外は俳優も内容もものの見事に忘れてしまっていた。 なにしろ出演者の中にトニー・レオンがいたのを見て、あれそうだったんだとびっくりする始末。 Wikipediaによると、「「悲情城市」発表当時の台湾は、1987年の戒厳令解除からまだ間もない頃であり、二・二八事件そのものをタブー視する雰囲気も強かった」と書いてあった。 ついでに二・二八事件について調べると、「1947年2月28日に台湾の台北市で発生し、その後台湾全土に広がった、当時はまだ日本国籍を有していた本省人(台湾人)と外省人(在台中国人)との大規模な抗争。約 40 年後、戒厳令の終了と政府側の遺族への謝罪により漸く終結した」とあった。 この映画は、それ以前の日本の統治が終了した1945年から、中華民国が台北を首都に定める1949年までの台湾の様子を、船問屋である林家の息子たちを中心に描いている。 トニー・レオンは林家の3男で聾唖の青年を演じているが、なんでも台湾語が話せなかったせいで、このような役柄になったのだとか。 あらすじはちょっとややこしいので、Wikipediaのこちらをお読み下さい。 さっきも書いたように、私は中国が台湾が中国の一部であると言っているのに対し、台湾が自国を独立国家と主張して対立しているのは知っていたが、台湾内部でも、本土から流れてきた国民党と、元々台湾に住んでいた台湾人の間で抗争があったという事は、この映画を見て初めて知った。 その後、テレサ・テンの父親が国民党の将校だったというのを知って、台湾でのテレサ・テンの立場も結構微妙だったんだな、などという事を思ったりもした。 でも、今回再見して、内容を全く忘れてしまったのには我ながらびっくりした。 ちょうど同じ頃見た同監督の「トントンの夏休み」とか「恋恋風塵」は、忘れている部分も多いけれど、全体のイメージや印象に残ったシーンなどは思い出すことも出来るのに。 「トントン・・」と「恋恋・・」は監督の自分史4部作のうちの2作で、その後監督は台湾現代史3部作というのを撮って、本作はその第2作にあたる。 このシリーズでは第1作の「戯夢人生」も観た。 シャオシェン監督の映画ではその後、男女の機微を描いた「ミレニアム・マンボ」と「百年恋歌」、過去の監督にオーマージュを捧げた「珈琲時光」と「レッド・バルーン」などの作品を観ているが、この監督は実に作風が淡々としていて、たとえ歴史の荒波に揉まれようと、そこに描かれる人々が阿鼻叫喚するというシーンはあまりない。 重い内容も、劇的な表現で描かれていないし、撮影も殆どがロングショットで、人々の生活を俯瞰で捉えている。 そういったところは一見クールなようなのだが、その背後には突出した人間のみのスポットを当てないこの監督の視線の優しさや、穏やかさみたいなものが感じられる。 ただ、この映画では珍しくヤクザの抗争のような暴力的なシーンが含まれている。 それも一重に、シャオシェン監督のこの映画に対する思い入れの強さの表れかもしれない。 ところで、「ヤンヤン夏の想い出」にNJ役で出演しているウー・ニェンツェンは、実はシャオシェン監督の「恋恋風塵」などの脚本を担当しているシナリオライターでもあるそうだ。 俳優と監督を兼ねる人は多くいるけれど、俳優と脚本家を兼ねている人というのは案外少ないのではないだろうか。 私の知っている限りでは、フランス女優のジュリー・デルピーぐらいしか思い浮かばない。 全く世の中には多才な人がいるもんだ。 ※下記の広告はExciteの営業活動の一環として掲載されるもので、主催者が載せているものではありません
by chiesan2006
| 2012-07-21 13:15
| 映画
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