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2007年 05月 05日
ある一つの出来事を軸に、それに関わるいくつかの物語をパラレルで映像化するという手法は、どうやらアレッハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督のお気に入りらしく「アモーレス・ペロス」「21グラム」に続き本作でもこの手法を採っている。ただし前2作が同一国内で同じ言語を話す人々の物語だったのに対し、本作は3つの大陸にまたがる、4つの言語で語られる。
公式サイトにもあるように映画「バベル」は旧約聖書の「かつて言葉はひとつだった。しかし人間が神に近づこうとして作った塔に怒った神は、人間の言葉をばらばらにした」というバベルの塔にまつわる話から着想を得ている。 登場するのはモロッコ、メキシコ、日本の3カ国、使われる言語はアラビア語、スペイン語、日本語、英語の4言語。そして日本の手話。 題名がばらばらになった言語にまつわるものなのだから、従来の外国を舞台にしたハリウッド映画のような、英語中心で時々現地語といった作品とはわけが違う。ここまで国際的に開かれたハリウット映画というのは非常に珍しい。ハリウッドも変わったという事か。 物語はモロッコの山中の村で、羊飼いの一家に狼を追い払うためのライフルが売り渡されるところから始まる。羊飼いの二人の息子は有頂天になり、父親に隠れて銃の試し打ちをする。しかも、走っているバスに向けて。 以前「ビフォア・ザ・レイン」というマケドニアの民族紛争を描いたイギリス映画で、マケドニアの田舎の臆病な青年が、銃を手にしたとたん態度が豹変するシーンがあって、銃が人間の精神に与える影響の大きさに背筋が寒くなったが、この映画でもまだ子供といっていいような兄弟が、意地の張り合いの挙句打った一発の銃弾が、多くの人々の運命を狂わせて行く。 バスにはアメリカの観光客の一団が乗っており、弾はケイト・ブランシェット演じるスーザンの肩を打ち抜く。周りに民家もないような僻地での突然の惨事にあわてふためく人々。このスーザンの夫リチャードをブラッド・ピッドが演じている。 日本にも普通の観光旅行では飽き足らず、世界の僻地に出かけていく人たちがいるが、そういった人々の危機意識というのは一体どのようなものなのだろう。病気や怪我、あるいは事故にあった場合、どのように対処するつもりなのだろう。あるいは自分たちだけは大丈夫と思っているのだろうか。 先日読んだ養老猛のエッセイに、危機は管理出来ないから危機なのであって、昔はそういう時は「覚悟を決めた」ものだ、と書いてあったが、そう言われたら仰せご尤もと言うしかないだろう。この映画では、人々が散々もめた挙句に、二人を残してバスで去ってしまう。 このライフルの元々の持ち主、綿谷ヤスジローを役所公司、そして聾唖でしかも母の自殺で心に深い傷を負った娘チエコを、日本人女優で49年ぶりにアカデミー賞にノミネートされて話題を呼んだ、菊池凛子が演じている。チエコは母の死以来父親ともしっくりいかなくなっている。話題になっただけあって、菊池凛子は傷ついて彷徨う繊細な女子高生を迫真の演技で演じる。 そして3番目の舞台になるのが監督の生国でもあるメキシコ。リチャードとスーザンの二人の子供の乳母のアメリアは、夫妻のモロッコでの事故のおかげで、二人の子供をメキシコの息子の結婚式に連れて行かざるを得なくなる。 盛大な結婚式の後、子供たちをサンディエゴの自宅に送り届ける段になって、アメリアは甥のサンチャゴのおかげで、とんでもないトラブルに見舞われる。 映像は3つの国のそれぞれの現実を、手持ちカメラでリアルに捉える。 確かに日本を巡るシーンでも、今の若者の風俗や生態を実に正確に映し出しているとは思う。そしてそれに重なる音楽も非常に印象的だ。 でも、とは言いたくないが、でも、すべてとは言わないまでも、チエコには不可解で私の理解の範疇を超えた行動があった。たとえどんなに傷ついて、孤独に苛まれていたにしてもあの行為はよくわからない。 それに3つの物語をつなぐ線が、いかにも強引で現実感が薄い。たとえば、狩猟愛好家の日本人がわざわざモロッコに猟に出かけ、そこでライフルを現地の人間に譲るという設定。全くないとは言いきれないが、ほとんどありそうもない。 それに、アメリアの話にしても、リチャードとスーザンが事故で帰国出来ない事は、リチャード自らスーザンの妹夫婦に知らせている。にもかかわらず、その夫婦はどうしても行けないと言って、アメリアに子供たちを押し付けてしまう。そりゃあないだろう。肉親だっていうのに。 世界の全く異なる地域を舞台にした物語を、なんとか関連付けようとする苦肉の策かもしれないが、この強引さは素直に受け入れられない。 それから物語の終盤にかけて物事が悪いほうにばかり展開してしまう脚本。観ていていらいらした。 現実感の薄い設定で話を進めていながら、最後には現実とはこういうものです、でも時は流れていくのです、みたいな終わり方をされても、なんだか納得出来ない。 この映画を観て感動する人も、もちろんたくさんいるだろうけれど、私としてはどうせ想像でつくるんだったら、最後にカタルシスを得られるような、それが無理ならせめてもう少し重さを削いだ終わり方をして欲しかった。 「21グラム」も後味悪かったもんなあ。それがこの監督の持ち味だ、と言われてしまえばそれまでだが。 ただし演技は、モロッコの素人俳優や子供たちにいたるまでみんな上手くて見ものです。因みに、リチャードの娘のデビーをダコタ・ファニングの妹のエル・ファニングが演じています。
by chiesan2006
| 2007-05-05 00:53
| 映画
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