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2007年 05月 24日
all cinema onlineの4月12日のニュースにイアン・マキューアン原作、キーラ・ナイトレイ主演で映画化される「贖罪(Atonement)」(邦題 つぐない)の予告編が公開された、という記事が挙がっていた。監督は「プライドと偏見」でもキーラとコンビを組んだジョン・ライトで競演は「ラスト・キング・オブ・スコットランド」でアミン大統領の側近となったスコットランド人青年を演じたジェームズ・マカヴォイ(といってもこの映画観てないんだけど)。
翻訳小説は結構よく読むが、この作家の名前は初めて聞いたので、早速アマゾンのホームページで調べてみたところ、この人ダニエル・クレイグ主演で映画化された「Jの悲劇」の原作者だった。原作の「愛の続き」は、英国の芥川賞ともいえるブッカー賞にノミネートされている。この作品での受賞は逃したものの、次作の「アムステルダム」で見事同賞を受賞、その後書いた「贖罪」でも再度ノミネートを果たすという、イギリス文学界では高い評価を受けている作家らしい。 という訳で、早速図書館で借りて(なにしろ単行本で高かったもので)読んでみた。 この小説、序盤は正にジョン・ライトの前作「プライドと偏見」の原作者ジェーン・オースティンを彷彿とさせる格調高い文体で、1930年代のイギリスの田舎町の裕福な中流階級の邸の生活が描写されるのだが、そういった文章にあまり興味のない人にとっては少々退屈かもしれない。 しかし4分の1を過ぎた頃から内容は俄かに緊迫感を帯び始め、その後はページをめくる手が止まらないくらい面白く、一気に最後まで読んでしまった。 以下ネタばれありです。 13歳のブライオニーは将来作家になることを夢見る、繊細で多感な少女だった。高級官僚の父は、仕事にかこつけてめったに家には帰らず、邸にはブライオニーと共に病気がちな母エミリー、そして当時としては珍しく、ケンブリッジ大学を卒業した姉のセシーリアが住んでいた。そして今日はブライオニーの大好きな兄のリーオンが、友達のポールと共に帰省してくる日だった。 ブライオニーは叔母が離婚後新しい恋人と旅行に出かけている間、邸に預けられていた従妹のローラと、その双子の弟ピエロとジャクスンと共に、自作の劇を上演する計画をたてた。しかし劇のリハーサルは思ったように進まず、たまりかねたブライオニーは邸を飛び出す。そんなブライオニーに、父の援助で大学教育を終え、今は医者になることを夢みる使用人の息子ロビーがセシーリアへの手紙を託す。 ロビーにほのかな恋心を抱いていたブライオニーは、思わずその手紙を盗み見てしまう。その手紙の内容に、ブライオニーは愕然とする。 ブライオニーはその後目撃することになるロビーとセシーリア、そして従妹のローラに関わる一連の出来事に、思春期の少女にありがちな偏った判断を下し、それがその後の若者たちの運命に、大きな影を落とすことになる。 キーラの演じるセシーリアは大学教育を受けながらも、自分の将来にはっきりとした展望が持てず、ロビーからの手紙をきっかけに、ロビーへの思いを燃え上がらせていく。 そして、話は第二部に至ってがらりとその様相を変える。 第一部では思春期特有に揺れ動くブライオニーや、偏頭痛に悩まされながらも不在の夫や家族を気遣うエミリー等、登場人物の心理が克明に描かれていくが、第二部では邸で起こった事件がきっかけで、医者になる夢もかなわず、第二次世界大戦でフランスに赴き、戦地でドイツ軍の攻勢に合い、負傷しながらもセシーリアの「戻って来て」という言葉を胸に必死で生還をめざすロビーの姿を、フランスの悲惨な状況とともに描き、さらに第三部では、自己の過ちに気付いて家を出、看護婦見習いとして働くブライオニーと、ついに始まった戦争によって、次々運び込まれる負傷兵たちの姿がリアルな筆致で描かれていくが、とにかくその描写力は圧巻。 巻末の訳者の解説によると、マキューアンの主題は20世紀後半の小説で、アイロニーなしで愛を語ることは出来るか、ということらしいのだが・・・。 作家が罪を犯し、自らの作品のなかでその罪を告白したとき、罪は贖えるのかという問いかけに対する答えも、小説の最後に示される。 とにかく重厚な小説を読みたいと思っている方には、絶対お勧めの一冊です。 それから、ネットで映画の予告編を観たのですが、それだけでもう感動が伝わってくるようで、公開が待ちどおしい一作になりました。 尤も「バベル」のような事があるからなあ・・・。
by chiesan2006
| 2007-05-24 23:18
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