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2007年 05月 31日
スコット・トゥローの小説は面白い。なぜ面白いかと言ったら、第一にトゥローが作家であると同時に現役の弁護士でもあるからだろう。トゥローの作品はいわゆるリーガルサスペンスと言われるジャンルの小説だが、そこに描かれる裁判シーンのリアリティと圧倒的な臨場感は、実際に法廷に立った経験のある人間にしか書けない迫力がある。 理由の第二は、複雑で緻密なプロットと、にもかかわらず最後にぴたっと辻褄の合う答えを出してくる爽快感だ。 ミステリー小説を読み終わった後、私は今回もまたうっちゃりだったなあ、と思う事がしばしばある。 うっちゃりと言うのは相撲用語で、土俵際まで追い込まれた力士が、最後の最後で体をひねって相手の力士を土俵の外に投げ飛ばす決まり手だ。見ている方は面白いけど、決まり手としては上手投げや寄り切りとは違って、追い詰められた挙句の窮余の一策と言われても仕方ない。ミステリーのどんでん返しは、感じとしてかなりこれに近いものがある。 ところがトゥローの小説のラストには殆どそういう無理やりな感じがなく、複雑に張られた伏線が見事に収斂し、最後に待っている答えには、全くもってなるほどと納得させられる。 それだけだって大した物だと思うのに、それに加えてトゥローの作品には非常に深い人間への洞察がある。 このきっちりと筋道を立てる論理性と、人間心理への洞察力は、間違いなくトゥローが弁護士生活の中で培って来たものだろう。 しかもそれだけではない。トゥローは弁護士になる以前はスタンフォード大学大学院の創作クラスに学び、後に同校の講師までしている。まるで面白いミステリーを書くために、経歴を重ねて来ているようなものだ。 というわけで、スコット・トゥローの小説は面白い。 さて、今回読んだ「死刑判決」、設定としては「プリズン・ブレイク」同様、冤罪で死刑判決を受けた被告をどのように救うかがテーマの小説だ。ありがちと言えばありがちなテーマだが、そこは現役の弁護士で、10年以上も死刑判決を受けた事件に関わってきたというトゥローの書く作品となれば、自ずと内容の重みが違ってくる。 以下ネタばれありです。 1991年の7月4日の独立記念日、居酒屋の主人と二人の客が殺され、地下の冷凍庫で発見される。事件の捜査は難航するが、捜査を担当したラリーは数ヵ月後、容疑者としてロミーという黒人のチンピラを逮捕する。ラリーは愛人の検察官ミュリエルの立ち会いのもとロミーの自白を引き出すが、10年たって死刑執行を33日後に控えた時点で、ロミーは急に無実を訴えはじめる。 ロミーの公選弁護人になったアーサーが事件を調べるうち、ロミーの無罪を証言する新証人が現れる。 そんなアーサーに対し、10年前のロミーの逮捕をきっかけに出世し、今は主席検事補となったミュリエルがたちはだかる。 果たしてロミーの無実は証明出来るのか? といっても、この手の小説や映画で無実の証明に失敗して、被告人が死刑になるなんて話は読んだ事も観た事もないから、結論は推して知るべしなのだが、とにかくそこに至る過程が面白い。 くるくる変わる証人の証言、次々表れる新証拠。錯綜するプロット。とまあ、そこいら辺はいつものトゥローらしさ満載なのだが、今までの作品と異なるのは、そこに二組の男女のカップルが絡んでくる点だ。 そのカップルとは、方やロミーを逮捕した刑事のラリーとその愛人で検察官のミュリエル、方やロミーの弁護士のアーサーとロミーに死刑判決を言い渡し、後にアーサーの恋人となる元判事のジリアン。 とにかく今回の作品はこの二組のカップルのしがらみが、いつになくこってりとした調子で描かれ、もう殆どソープ・オペラ(はちょっと古い言い方だけど、最近なんて言うのか知らないので)の世界だ。 もともとトゥローはアメリカ法曹界のパワーエリートと呼ばれる人々の、欠点や苦悩を描くことで彼らと一般人の距離を縮め、それによって広い読者を獲得しているような所があるが、殆どの場合それは家族間のことであったり、夫婦間のことであり、今回のように恋人同士の問題を、ここまで濃厚なタッチで描くのは珍しい。 さんざっぱら褒めておいて今さらけなすのもなんだけど、私はこの手の話を読むのはあまり好きではないので、このあたりの描写には正直言っていささか辟易した。しかも、他の作品ではもつれた男女関係が事件に大きな影響を与えているのに、この小説では微妙な影響はあるものの、そうでなければならない理由はあまりないように感じられた。 それに中の何人かが妙にめそめそと泣くに至っては、流石のトゥローも年をとったのかなあ、などと思わされてしまった。年を取ると誰しも涙もろくなるとはいえ、まさかトゥローがねえ。 とはいえ、その点を差し引いても、トゥローの作品はやっぱり面白い。最後に次々と鑑識によって提示される事実は、まるでマジックの種明かしのように物語を終焉へと導いていく。 でも、やっぱり私にとってはちょっとこてこての内容だったなあ。
by chiesan2006
| 2007-05-31 01:26
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