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2008年 11月 22日
フェルメール作 「小路」 1658年頃 アムステルダム美術館蔵 元々書く能力があるわけでもなく、書くのが大好きというわけでもないのに無理やり書いてるようなところがあるので、最近映画の事を書こうと思っても書き始めから詰まってしまって、中々書けない事がたびたびある。 そんなこんなで、たまには映画も本もドラマも関係ないことについて書くのも気分転換かなと思い、この間はオリンピックのことなども書いたけれど、今回は絵の展覧会について書いてみようかと思う。 先日、近所に住んでいる親戚のおばさんから、上野の西洋美術館でやっている展覧会のチケットがあるんだけど行かないか、と電話があった。 元々絵を見るのは好きなので、早速貰いに行ったところ、「ヴィルヘルム・ハンマースホイ」という全然聞いた事のない画家の展覧会だった。 でもチケットの絵がとても美しかったので、行ってみる事にした。 それで、せっかく上野まで行くからには、ついでに今大評判の「フェルメール展」も見ちゃおうと思って、最初に都美術館に行ったところ、平日の午前中にも関わらず、すでに40分待ちになっていた。 これじゃあ、土、日なんかに来たらどれだけ並ぶ事やらと思いつつ、本など読みながら列に並んで漸く入場した。 来場者の中には、団塊世代と思しき年配の方も多く(都美術館ゆえ65歳以上の人は900円)、中には杖をついたお年寄りまでいて、でもエレベーターに乗ろうにもぎゅうぎゅう詰めで何台も待たなくてはならず、階段の上り下りは難儀だろうし、そんな方にはちょっと大変な展覧会だった。 それにしても、フェルメールの人気たるや凄いものがある。 フェルメールに関しては、以前から題名に「フェルメール」と銘打った展覧会は時々あって、でもそういう時のフェルメールはあくまで客寄せのための冠で、たいていの場合肝心のフェルメールは1枚だけしかない。 今回の展覧会には、過去最高の7点のフェルメール作品が出品されているとあって、このような大盛況になったようだ。 ようやっとたどり着いたフェルメールの作品の前。 でも、7点のうちの2点は初期の宗教画的作品で、それらはイメージしていたフェルメールらしさに掛けていた。 残り5点のうち、1点は、フェルメールが描いた2点の風景画のうちの1点の「小路」、そして残る4点があのフェルメール独特の窓辺の構図の絵だった。 こういう時いつも思うけど、どんな名画も人の頭の間から見なければならないような環境では、ご利益が薄い。 やっと前まで行けたと思っても、後から後から人が来て、おちおちしていられない。 というわけで、ワクワクしながら見に行った割には、思ったほど胸に響くものがないまま、会場を出る羽目になってしまった。 やっぱり名画なればこそ、もっと良い環境で見たいよねえ。 それにしても、日本の絵画ファンは熱心だなあ。あんなに混んでるのに、皆音声ガイドなんか借りちゃって、パネルの説明文もとても一生懸命に読んでるし。 私はなにしろ混んでるからとりあえず絵だけ見て、後はネットででも調べればいいや、みたいな感じだったけど。 余談だけど、フェルメールという画家に最初に興味を持ったのは、20年位前に読んだフェルメールの贋作をテーマにした推理小説で、主人公がフェルメールに心酔している学芸員だったせいで、フェルメールってそんなに魅力があるんだ、と思ったのがきっかけだった。 とはいってもせいぜい画集を見たり、映画「真珠の耳飾の少女」を見たり、といった程度の興味の持ち方にすぎないのだけれど。 少々くたびれたフェルメール鑑賞だったけど、そのままの足でてくてくと上野動物園前の広場を横切り、西洋美術館へ。 こちらの展覧会にはそれほど期待はしていなかったのだけれど、行ってみたら会場は思いの他混んでいて、たぶんフェルメール展からそのまま流れて来たと思しき人たちもかなりの人数いるようだった。 でも、混んでいたとはいっても、絵の前でじっくり鑑賞出来、パネルも余裕を持って読む事が出来、自分としては過小評価していたこちらの展覧会の方が、ずっと見ごたえもあったし、感動的だった。 ハンマースホイ作 クリスチャンボー宮殿、晩秋 1890-1892年 コペンハーゲン国立美術館 ハンマースホイは、19世紀のいわゆる象徴派の画家で、デンマークを代表する世界的にも有名な画家だそうだ。 でも、日本ではあまり知られていない。 今回、本人の作品86点に加え、その周辺の数名の画家の作品19点が展示されていた。 なんといっても、一人の画家の作品がこれだけの点数展示されていると、その画家の世界にじっくりと浸る事が出来る。 このハンマースホイという画家の特徴的なところは、展覧会の副題にもある、「静かなる詩情」というのがなるほどと思える、非常にミニマムで静謐な雰囲気にあるのではないかと思う。 絵はすべて細部まで驚くほど繊細に描かれているのだが、その中で所々に見えるアンバランスさ、例えばテーブルの脚が3本だったり、ドアの取っ手がなかったりすることにより、どこか非現実的な感じも醸しだされている。 それでいながらこの人の絵は、あたりに漂うひんやりとした空気さえ感じられるほどにリアルでもある。 展示の最初の方に、デンマークのクリスチャンボー宮殿や聖ペテロ教会といった建物を描いた作品が並んでいたのだが、それらを見てしきりに頭に浮かんだのが、もう20年近く前に見たベルギー象徴派のフェルナン・クノップフの建物の絵のことだった。(右の絵 フェルナン・クノップフ作 見捨てられた街 1904年) もしかして何らかの関係があるのかと、パネルを一生懸命読んだけど、生憎クノップフとの関連については何も書かれていなかった。 ただ、クノップフの場合、建物意外の絵は神話や伝説をシンボリックに描いた作品が多く、ハンマースホイとの共通点はあまりないように思われた。 モネが自宅の庭に睡蓮の池を作って、それを繰り返し描いたことは有名だけれど、ハンマースホイは建物以外には自宅の室内を繰り返し描いている。 この人は夫人と二人で何回も外国に旅したそうなのだが、外国の絵を描く事はあまりなく、なにしろ圧倒的に多いのがこの自宅の室内の絵なのだ。 その中にたびたび描かれる、黒いドレスに身を包んだ後姿の妻イーダ、構図の中で大きな部分を占める何もない壁面や床、それらのミニマムさが、見る者との間に独特の距離感を生んでいる、そんな風に思えた。 この画家のこの空気感や距離感、私はとっても好きだったな。 ハンマースホイは幻想的で、禁欲的な美しさのある絵を描く画家だった。 この作風はきっと日本人好みだろうなと思ったら、やはりすでに10万人以上の来場者があったそうだ。 日本では、都内だけでも必ず年に1、2回は印象派の画家の展覧会が行われるし、有名美術館の企画展も多いけど、こういった画家の展覧会はめったに開催されない。クノップフ展だってBUNKAMURAで開催されてからもう何年経つだろう。 ハンマースホイ展も、これ以後開催される事があるかどうかわからないし、あったとしても相当先のことになるだろう。 だったら、印象派の展覧会を1回見に行くのをやめて、こちらの展覧会を見たほうが価値がある、と私は思った。 美術展の構成というのもいろいろあって、時代も主義も違うたくさんの画家の絵を展示する「○○美術館展」といった企画よりは、こういった個人の作品をじっくり見られる展覧会か、せめて同じ主義の人たちの絵を集めた展覧会がの方が、より多くの事を感じられて私は好きだ。 それに、絵の展覧会に行ってつくづく思うことは、絵というのは画集で見ただけではわからないことが多いということだ。 色や大きさ、時には質感も画集ではわからない。 以前何だったかの展覧会に2点ほど出品されているのを見て以来、その驚くほどの美しさが忘れられないジョン・アトキンソン・グリムショーや、これも以前1点だけ見たことのある三島由紀夫もファンだったというモンス・デジデリオなども、インターネットで見る事は出来るものの、あの独特の作風は捉えられていない。 今回のような、日本ではあまり知られていないけれど、日本人がみたらきっと美しいと思うに違いない画家たちの絵を、もっとどしどし紹介して欲しいなあ、などとつらつら考えながらの帰途となりました。
by chiesan2006
| 2008-11-22 04:35
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