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2009年 05月 31日
クリント・イーストウッドは悲劇的なテーマを扱うのが好きな監督だし、今回の映画も決してハッピーエンドではないけれど、「ミスティック・リバー」や「ミリオンダラー・ベビー」を見終わった後のような重苦しさを感じることもなく、主人公の生き様にむしろある種の爽快感さえ感じながら劇場を出た。 それになんといってもこの映画で良かったのは、そこここにちりばめられたユーモアのセンス。 これは他のイーストウッド作品にはあまり見られない。 シナリオライターはテレビ界出身で、本作で映画ライターとしてデビューしたニック・シェンクという新人。 プロデューサーを通じてイーストウッドの製作会社に届いたシェンクのシナリオを、イーストウッドが気に入って自ら監督、主演をすることになったそうだ。 予告を見た時には中国人かと思った主人公の隣の家の住人たちは、ラオス・ベトナム・タイなどに散在するモン族という少数民族で、ベトナム戦争の際にアメリカ軍と共に戦い、その後アメリカに移住してきた人々。 実際に映画に出演している人たちも、アメリカのモン族のコミュニティからオーディションで集められた、ほとんど演技経験のない人たちばかりなのだそうだ。 この映画の中でイーストウッドは偏見丸出しの人種差別主義者を演じているのだが、実際のイーストウッドは極めてリベラルで、「硫黄島からの手紙」では日本の若手俳優の二宮和也を絶賛していたけれど、この映画でもモン族の姉と弟を演じたビー・バンとアニー・ハーに惜しみない賛辞を送っている。 それにしても一昔前のハリウッドだったら、シナリオにモン族が登場したからといって、日系や中国系の俳優ですませてしまったものだけど、最近はこのあたりの演出がかなり肌理細かくなった。 撮影にはモン族のアドバイザーも参加していたということで、おかげでモン族のコミュニティーが実に生き生きと表現されていた。 あらすじ(ネタばれあり) アメリカ中西部ミシガンに住むウォルト・コワルスキー。 数年前にフォードの工場をリタイアしたウォルトは、昔堅気の頑固で偏屈な人物。 今しも長年連れ添った妻の葬儀に臨んでいるが、反りの合わない二人の息子や、エイリアンのような孫たちに辟易している。 だがウォルトが気に入らないのはそれだけではない。 長年住み慣れた我が家の周辺からは、昔の住民が次々と引越し、今や周りはウォルトの大嫌いな有色人種ばかり。 その上、妻が懇意にしていた神父のヤノビッチは、ウォルトが懺悔をすることが亡き妻の望みだったと、いやがるウォルトにしつこく迫る。 そんなある日、ウォルトの隣家の一人息子のタオが、不良のいとこに脅され、ウォルトの家に愛車グラン・トリノを盗みに入る。 だがあえなくウォルトに発見され、あわてて逃げ帰るタオ。 そんなタオを、不良のいとことその仲間が、こともあろうにウォルトの庭先でいたぶる。 見かねたウォルトが少年たちをライフルで追い払ったところ、それに感謝したタオの家族や親戚が、次々とお礼の品を持ってウォルトの元を訪れるのだった。 さらにタオの姉と母は、罪滅ぼしのためにタオにウォルトの家の手伝いをさせて欲しいと懇願する。 最初はいやいや接していたウォルトだったが、しっかり者のタオの姉スーや、気弱で人の良いタオと接するうち、しだいに打ち解けていく。 先にも書いたように、この映画には他のイーストウッド作品にはあまりみられないような、さりげなくユーモラスなシーンが随所にある。 例えば老人ホームのパンフレットを持って訪ねてきた息子夫婦の話を聞くうち、ウォルトが頭から湯気が出そうなくらい怒った様子になって、あわてた息子夫婦がほうほうの体で去っていくシーン。 それから、お互いをけなしあいながらも長年通い続けている床屋のマーティンとの関係や、全くことばの通じないタオの祖母とのことばにならないコミュニケーションなど。 これらのシーンは決して軽いとはいえないこの映画に、暖かさや柔らかさを醸し出すのに一役買っている。 それに、モン族の出演者が殆ど素人だという点も、この映画が重くなりすぎるのを防いでいるように思えた。 ラスト近くにウォルトがアジア人を嫌う理由が明かされる。 ウォルトはベトナム戦争に従軍している時に敵に酷い仕打ちをした事をいまだに悔いており、アジア人を見るとその時の事を思い出すため敬遠していたのだ。 けれども、人と人とのつながりを重んじるモン族の昔堅気の気質と、ウォルトの気質は実は案外通じ合うところがあるという事が、ウォルト自身にも次第にわかってくる。 (ここからは更にネタばれ) 後半になると、ウォルトがかなり深刻な病に冒され、余命いくばくもなさそうだとうことが暗示される。 病院から帰ったウォルトは、日頃は疎遠な息子に突然電話し、「そっちは変わりないか?」などと聞く。 答えながらも何かを察する息子の怪訝な表情。 このシーンは、ウォルトが不治の病に冒されている事を示すためのさりげない演出だとはいうものの、なんだか胸にしみた。 ウォルトの余命が少ないという事は、この映画のラストの流れをつくるための極めて重要な出来事、というよりそうでなければこの映画は成り立たないというくらいの出来事なのだが、それを医者が告げるといったような安直な演出せず、こういった微妙なニュアンスのあるシーンにしているところはとても良かった。 執拗にタオを追い回す不良たちを目の当たりにし、このままではタオとスーの人生が台無しにされかねないと感じたウォルトは、中の一人を銃で脅しタオに付きまとうのを止めさせようとする。 ところがそれが裏目に出て、タオの家は銃撃され、スーは暴行されてしまう。 ウォルトと共に不良たちに復讐したがるタオ。 とうとうウォルトは、身を挺してでも不良たちをタオたちの前から排除する決心をするのだった。 その後に続く悲劇的な出来事は、衝撃的ではあるものの話の流れから考えたら大体想像出来る。 私が考えたのは、この事件の後でタオとスーはウォルトが不治の病だったという事を知ったのだろうか、という事だ。 映画で「たられば」を言ってみてもはじまらないとは思うものの、もし知らなかったなら、なんだかとても重いものを背負ってその後の人生を歩まなければならないだろうなと思ったし、知ったら知ったで少しほっとしてしまったりしないだろうか。、でも、そう感じた自分たちを今度は恥じてしまったりはしないだろうか、とも思った。 それにウォルトの家族はどう感じたのだろうか、といった事も気になった。 映画のラストでは、そういった人々の内面に触れる事はなく、グラン・トリノがタオに贈呈される。もの欲しそうなウォルトの孫娘にではなく。 それにしても、不良どもをライフルや銃で脅すときのウォルトの迫力は、どうみてもフォードの元社員というより、退職したハリー・キャラハンとしか私には見えなかったなあ。
by chiesan2006
| 2009-05-31 23:59
| 映画
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