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2009年 06月 07日
(採点はあくまで私の主観に基づいていますので、私のレベルが低いせいで理解が及ばす、伸びない場合も多々ありますので悪しからず)
5月に観た映画 レッド・クリフPartⅡ-未来への最終決戦ー (劇場) アメリカ・中国・日本・台湾・韓国 78点 最近の映画はとにかくいろんな国が製作に参加している。 この映画も監督、スタッフ、出演者の殆どが中国人なのにアメリカや韓国が製作に参加している。 話は中国の歴史ドラマだけど、作りはまったくアメリカの大作映画風だった。 観客動員は凄いけど、私の周りではあまり評判は良くない。 天使と悪魔 (劇場) アメリカ 83点 「ダヴィンチ・コード」に比べずっとわかり易かったものの、前半はどうみても「ナショナル・トレジャー」みたいに見えた。 ダン・ブラウンの作品は話が込み入っているので忠実に再現するのは難しいらしく、特に後半は話が割愛されたり変更されてしまっている。 ラスト近くにラングトンが凄く頑張るアクションシーンもなくなっているのだけど、もしかしてトム・ハンクスの年齢を考慮したせい? グラン・トリノ (劇場) アメリカ 90点 2000年代に入ってから次々と話題作を撮り続けているイーストウッドだけど、中でもこの映画は凄く良かった。 80歳近くなって流石に俳優業は引退の噂も聞こえるが、監督業はまだまだ続けるらしい。 衰えを知らない映画への情熱には頭が下がる。 時計じかけのオレンジ (DVD) アメリカ 92点 TSUTAYAで3本買ったら各1000円というセールをやっていたので買ってしまった。 確か映画は70年代の中ごろにリバイバル上映された時に2回見て、その斬新な映像と衝撃的な内容にぶっとんだ。 今回久しぶりに見たら、流石に当時ほどの衝撃は感じなかったものの、こんな映画が40年近く前に作られていたのかと思うと、別の意味で驚きだった。 先月読んだ原作と比較すると、内容は案外原作に忠実なのだけれど、ラストが割愛されていて、それが原因で原作者ともめたらしい。 「ナットサット」という若者ことばも原作者の考案なのだが、昔映画館で見たときには字幕がわかりやすい言葉に翻訳されていたような気が・・・。 DVDはその辺は忠実に翻訳されているのだけれど、その分原作を読んでいない人にはわかり難いかもしれないと思った。 それになんといっても当時強烈に印象的だったのが、主演のマルコム・マクダウェルの不適な面構えと演技。 この人、その前に出演した「if」というイギリスの学園紛争の映画に主演した時から目立ってたけど、この映画では更にその上の上を行った感じ。 その後「カルギュラ」なんていう問題作にも出演したけど、やっぱり代表作といったらこれでしょう。 その後も小品ながらいろいろな映画に出演し続けていたらしく、数年前に「バレエカンパニー」という映画に出演しているのをたまたま見た時には、ずいぶん年取ってしまっていてびっくりだったけど、なんだか嬉しかった。 そして、ひと粒のひかり (DVD) アメリカ・コロンビア 86点 お金のために麻薬の運び屋になるコロンビアの少女たちの話なのだが、麻薬の運び方が驚きだった。 コロンビアといったらちょっと前まではメディジンカルテルなどといった大規模な麻薬組織が幅を利かせていたので有名だったけれど、最近はだいぶ治安も改善されたと聞いている。 この映画は2004年製作だけれど、裏ではいまだにこういった事が行われているのだろうか。 でも、悲劇でなく希望が持てるラストが救いだった。 主演のカタリーナ・サンディノ・モレノというコロンビアの女優は、コロンビア人で始めてアカデミー賞にノミネートされたそうだ。 ディスタービア (DVD) アメリカ 78点 B級の青春映画を2流のサスペンスで味付けしたといった感じで、ほとんどどきどきする感じもなく見終わっちゃった。 大体、同乗していた父親が悲惨な死に方をする冒頭の交通事故のシーンの重苦しさと、その後の雰囲気がまるっきり合わない。 久しぶりに見たキャリー・アン・モスの出演作(主人公の母親役)なのにがっかり。 アメリカでは大ヒットしたそうなのだが、ヒットの理由が良くわからない。 スターダスト (DVD) アメリカ・イギリス 75点 子供が全く出演しないファンタジーという事で、「ロード・オブ・ザ・リング」や「ゴーメンガースト」のような大人向けのファンタジーかと思って期待して見たのだけれど、なんだか子供だましで全く面白くなかった。 こんな映画にロバート・デ・ニーロが出演するなんて、よっぽどお金が必要な事でもあったの?と思わず突っ込みたくなった。 監督は「レイアーケーキ」を撮った人なんだそうだけど、「レイアー・ケーキ」のスタイリッシュさはかけらもなかった。 靴に恋して (DVD) スペイン 85点 内容を良く確認せずに題名とパッケージの写真が気に入って借りちゃったら、イメージした内容と全然違った。 もっとお洒落で軽い映画なのかと思ったら、結構重い話だった。 それぞれに問題を抱えた登場人物たちの物語が、微妙に絡まりながら進行していく。 女優は皆個性派なのに、男優はイケメン揃い。 でもなぜか殆どがゲイ。スペインって、そんななんでしょうか? 女性たちのひたむきに生きる姿や、前向きなラストがじわっと胸に迫った。 ポロック ふたりだけのアトリエ 83点(DVD) アメリカ エド・ハリスの第1回監督作品。 ジャクソン・ポロックは近代の壁を破ってアメリカのアートを現代に移行させるのに、重要な役割を担ったアーティストなんだそうだ。 映画自体は編集のせいか、なんだか取り留めのない感じがしたけれど、エド・ハリスが本当の画家さながらの筆運びでどんどん絵を描いていってしまう様子には驚かされた。やっぱりこの人只者じゃない。 妻でアーティストのリーを演じたマーシャ・ゲイ・ハーデンも良かった。 この映画で二人ともにアカデミー賞にノミネートされた。 アトランティスのこころ (DVD) アメリカ 84点 だいぶ前から気になっていた作品。 1960年代の母子家庭の少年と、そこに下宿している老人の心の交流を描いている作品なのだが、原作がスティーヴン・キングだけに、老人には特殊な能力があり、謎の男たちに追われている。このあたりの設定がどうもぴんと来なかった。 アメリカの子供が出てくる映画はあまり好きではないのだけれど、この映画の少年のきらきらした瞳や、老人を演じたアンソニー・ホプキンスの抑えた演技は好印象だった。 あと母親が安易に男に走って騙されてしまうのだが、60年代に女で一つで子供を育てるのは容易ではなかっただろうから、無下に愚かとばかりは言えないものがあり、ラストに息子と二人で寄り添って去っていく姿は、妙に切なかった。 フル・フロンタル (DVD) アメリカ 78点 アカデミー監督のスティーブン・ソダーバーグが、手持ちカメラで撮った低予算映画。 見てる途中でなんか昔見た「セックスと嘘とビデオテープ」みたいな映画だな、と思ったら特典映像で監督のソダーバーグが「セックスと・・」を意識して作ったと言っていたのでやっぱりと思った。(調べて見たらソダーバーグはこの映画の脚本家だった) アメリカ人が理屈っぽい映画を作ろうとすると、きっと大体いつもこんな感じの映画になるんだな、と思えるような映画だった。 幸せになるためのイタリア語講座 (DVD) デンマーク 86点 別の映画と勘違いして借りちゃったら、デンマークのドグマ映画でびっくり。 ドグマ映画は苦手な作品が多いんだけどこの映画は良かった。出だしが重い感じで借りたのは失敗かと思ったけど、怪我の功名。 登場人物は皆、こんなんで厳しいグローバル社会を生き抜いていけるの、と思うような人たちばかりなんだけど、だからこそなんだか親近感が沸いて応援したくなった。 女性のドグマ監督ではスザンネ・ビアの評価が高くハリウッドにも進出したけど、ビアの作品はいつも内容が重い。私はこの監督の方が好き。 5月読んだ本 夜愁(上)(下) サラ・ウォーターズ 79点 前作の「荊の城」はちょっとディケンズみたいな感じもあって面白かったけど、今回の作品はなんか体の良いレディースコミックを文章化したらこんなになるんじゃないかな、みたいな小説だった。 前2作のようなミステリーではなく、第二次世界大戦前後のイギリスを舞台にした普通の小説。 時系列が現在から過去に遡る形式になっていて、現在起こっている出来事の原因が次第に明かされていくのだが、是非ともその原因が知りたいと思うほど、謎めいているわけでもない。 登場人物はレズビアンだったり、潜在的なホモだったり、不倫していたりするので、今までの作品にはないかなり際どい性描写や中絶の描写などもある。 確かに非常に描写力はあるが、映画でも同性愛の作品にはあまり感情移入出来ないので、どこかぴんと来ない感じで読み終わってしまった。 ブッカー賞の最終候補に残ったそうだが、もしかしてその年は不作だったんじゃないの、なんて思ってしまった。 模倣犯(一)(二)(三)(四)(五) 宮部みゆき 78点 とにかく長くて参った。 宮部みゆきは以前からそれほど心引かれる作家というわけではなかったけど、これですっかり苦手作家の仲間入りをしてしまった。 ダルジールの死 レジナルド・ヒル 83点 冒頭からダルジールが爆弾テロに巻き込まれ重態になるが、題名の深刻さに比べ筆致が明るかったので、ラストは推して知るべしな感じだった。 今回はパスコーがまるでダルジールのようになって捜査にあたるので、妻のエリーがパスコーの身を案じてヤキモキする。 やっぱりこれは9・11に触発されて書いたのだろうか? でも、さすがにヒルの作品は捻りが利いていて、テロリストがダイレクトにアラブ人なのではなく、そのアラブ人のテロ容疑者を狙う別のテロ組織をパスコーが追い詰めてゆく。つまり、この小説ではいわゆる報復の連鎖が題材になっていて、それにダルジールが巻き込まれてしまうのだ。 ヒルの文章はウィットに富んでいるけれど、往々にしてそれが回りくどく感じられることがないでもない。 君のためなら千回でも(上)(下) カーレド・ホッセイニ 83点 11歳までアフガニスタンで暮らし、現在はアメリカ在住のアフガニスタン人の著者が書いた最初の小説。 作者が暮らした内戦前のアフガニスタンの様子が生き生きと描写されていて、とても興味深かった。 ただノンフィクションではないので仕方ないとは思うものの、話があまりにも映画的過ぎというか、作られすぎてる感じが否めない。 作者は現在アメリカで医師をしながら小説を執筆しているそうだが、だとしたら現在のアフガニスタンの描写にはどれくらい信憑性があるのだろう。 そういった意味で、アフガンの現実を知るために読むには疑問が残るし、単に小説として読むにはあまりにも題材が生々し過ぎて、どんな風に捕らえていいのかわからないまま読み終わってしまった。 原題は「The Kite Runnner」というのだそうだけれど、そちらのほうが端的に内容を表している気がするのだが・・。
by chiesan2006
| 2009-06-07 02:09
| 映画と本
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